仕事が午後6時に終わらないと困る事情
「女性活躍を阻む夜間就業」というタイトルの日経本紙の記事(4-17)に目が止まった。老舗百貨店の営業時間が短くなって、従来の朝10時~夜8時に代わって4月からは朝10時半~夜7時半になり、このことが女性活躍を邪魔することになるという記事だ。
労働政策研究・研修機構の池田心豪・主任研究員の寄稿なのだが、一度読んだだけでは分かりにくいのでこの件についての読売新聞(4月から高島屋と三越伊勢丹の主要店舗が営業時間を短縮 2-8)の解説記事も参照してみた。これによると時間短縮のねらいは「営業時間の短縮で従業員の働く環境を整え、接客の水準を高める」なのだが、本音としては人手不足の解消だという。業種別の人手不足の状況(欠員率)が全業種の平均を大きく上回り、人手を確保するため働き方を見直すことになったというわけだ。これがなぜ女性活躍の足を引っ張るのか。先の機構の調査では所定の終業時刻が午後6時以降の場合、産休・育休から復職後5年間の就業継続率が低下するという。つまり残業がなくてもシフト勤務の遅番のように終業時刻が遅いと仕事と育児の両立は難しくなるのである。保育園のお迎えという仕事があるからだ。
女性活躍にとって労働時間の短縮は歓迎だが、時間の長い短いよりも大事なのは「いつ働くか」ということだ。日本橋高島屋では営業時間短縮の期間を4月から8月いっぱいとしているが、売り上げなどに影響がなければ9月以降も続ける見通しという。5か月間の業績が今後の働き方に影響してくるわけだ(4-27 岩崎)。