介護の危機感は強いが、その割りに介護休業制度の理解は進んでいない
介護問題は先進国に共通の深刻な問題だが、親の介護のために仕事を辞めたり、正社員から契約社員やパートタイマーになるなどの事態は日本に特有の現象のようだ。共働きの家庭では親の介護で危機に直面することも最近は珍しくない。女性の社会進出にもブレーキをかける「仕事と介護の両立」に関するアンケート調査を(株)富士通マーケティングが行なった。
調査の対象は家族を介護している30歳以上の会社員男女。まず介護の形態では、「在宅型」が76.5%、 「施設型」が23.5%だった。 30代は「在宅型」が86.1%と多く、 60代は逆に「施設型」が多かった。高齢者が高齢者の介護をする「老老介護」が深刻化しているためか、年代が上がるにつれ、「施設型」が増加する傾向にある。仕事と介護を両立させていても、6割の人が「精神的疲労」を感じている。また将来、 自分が介護されるなら「在宅型」を希望し、そのためにも「介護にかかる費用」を備えたいと感じているという結果だった。気になるのは、2012年7月にスタートした介護休業制度の利用率がわずか11.5%に留まったことだ。すでに3年が経過している職場の支援制度だが、「会社にそういう制度があるか分からない」という回答が2割弱あった。
介護休業制度についてもう少しふれると、たとえ制度があっても利用しない理由は、「今後、もっと休業が必要な状況が来るかもしれないから」が最多というのは気になるところだ。休業制度は分割して取得できるものであり、危機感が強い割には制度の理解があまり進んでいないとうかがえるからだ(11-3岩崎)。