介護で離職は年間100万人。予備軍は100万人
介護で退職する社員が増えているが、大手企業は国が定めた育児・介護法の支援だけでは十分ではないと、法律より手厚い支援で社員のつなぎ止めを急いでいる。日本経済新聞(9-27)が伝えた。
法律では介護休業を取る権利を事業主は拒めないと定めている。だが、介護休業の日数や回数が限られている場合、社員が介護と仕事の選択を迫られ、やむなく退職するリスクは残る。それで大手企業は法律の枠を超えた支援制度の強化に動くことになる。例えばD保険では、法律にある通算93日の休める権利を、730日に延長して回数も無制限とした。これと同様に有給をとればさらに休める仕組みを設けた企業もある。別の保険会社は介護休業を通算1年から2年に拡大。流通業のある企業は2年の介護休業を認めることにした。各社が競ってそこまでやるのは、介護が原因で社員を手離したくない、社員のつなぎ留めはいまや重要な経営課題に浮上しているからだ。また介護休業は休業の期間を競うだけではない。結果として働き方の柔軟性を高め、仕事と介護の両立を促すことになる。介護予備軍100万人は総力戦を強いていることになる。
国の制度では、雇用保険被保険者の会社員は介護休業中に介護休業給付金(賃金月額の67%)を受け取れる。ただし、期間は法律が休業を認める93日間だ。こうした中でP電気は介護休業(同社は通算1年)の期間中、6カ月は基準内賃金の7割、それ以降は4割支給する制度を整備した。H機械も介護休業(1年)のうち9カ月は給与の5割を支給する。