中小企業への「女性活躍支援」は、相変わらずの助成金対策だけでいいのか

女性の戦力化で遅れをとる中小企業に、政府が本腰を入れて取り組むことになったらしい(日本経済新聞)。その柱は女性雇用への直接的な助成だ。女性が継続して働ける環境を整えるよう、女性の採用、パートから正社員への転換などで目標を達成した企業への助成金を最大60万円と倍増する。育休支援の助成金の増額も検討する。16年度予算の概算要求に盛り込まれる見込みだ。

 

新たな支援策「ポジティブ・アクション加速化助成金(ポジティブ・アクション能力アップ助成金の拡充)」では、目標達成に向け数値を含んだ計画をつくり、取り組みを実行すれば30万円、数値目標を達成すればさらに30万円を支給する(1事業主1回限り)。現行は数値目標を達成した場合のみ30万円を助成している。早ければ年内に受け付けを始める。数値目標は女性の採用数、非正規から正社員への登用数、管理職になるための研修の時間などを想定。企業はトイレや更衣室など女性向け設備をつくったり、透明性の高い人事制度を整えたりする必要があるとしている。

 

これは相も変らぬ助成金政策なのでないか。その意味で新鮮味に乏しく、インパクトに欠けるという印象だ。中小企業の経営者に聞いても助成金支給までのぼう大な事務作業の負担に比べて雇用促進につながるか疑問という雰囲気が感じられる。第一、経営者はともかく女性自身の働こうという動機づくり、意欲づくりには無関係の施策といえる。なによりも女性が望む託児施設の拡充や職住近接への配慮などがないがしろにされているのは毎度のことながらうなづけない(8-16岩崎)