世界中で高度人材の取り合いっこ。だが長時間労働が足を引っ張っている  

 

日本の労働慣行がイヤで日本を離れていく高度人材の様子を日経新聞(3-20)がレポートしている。長年の長時間労働がいまや海外の人材からも疎まれ、これは日本の未来づくりに大きく影響を及ぼすだろうという、かなりショッキングなレポートだ。

 

世界中が高度人材の取り合いに血眼になっている。これには日本も早くから参戦しており、高度の学識と経験を持つ人材に対して認定の仕組みを設けている。博士号で30点、研究分野の職歴10点、年齢が34歳未満で10点、それぞれを合計して70点以上であれば高度人材と認定される。日本政府は2020年末までに1万人を認定するという目標を掲げている。2016年6月までに認定を受けた人は5487人。目標の半分以上を達成したと思えるが実はザルから水が漏れている。法務省によるとこのうちすでに14%が国外に去ったという。原因はなにか。「人事評価があいまい」「残業が多い」「上下関係が年齢や実力以外のところで決まる」という日本企業特有の窮屈さ。スイスの調査機関によると、「高度人材にとって日本の魅力は世界52位。まだ選ばれる国ではない」という。

 

もう一つ気になる数字がある。2014年の調査だが、日本から先進諸国に移住した人は3万4000人。なんと女性が6割超だった。大卒以上の高学歴女性の1.1%が流出しているのだ。

日本が選ばれる国になるにはどうしたらいいか。

レポートはカナダの大学から2倍の給与の誘いを蹴って来日した京大iPS細胞研究所のカナダ人准教授の例をあげている。生活や言葉の壁は大きく厚いが、国籍や背景を問わない、英語も使える研究環境。そしてノーベル賞学者、山中伸弥京大教授の下で働ける「オンリーワン」の魅力。これが高度人材獲得のヒントになるというのだ。