レジ市場戦国時代はタブレットレジに軍配か?
10月の消費増税を前に、タブレット端末などを使う「モバイルPOS(販売時点情報管理)レジ」が中小の飲食店や小売りの現場に広がる。据え置き型の高機能なPOSレジより導入費用が安く、将来さらに税率の変更があっても更新の手間がかからない。東芝テックなど電機メーカーが君臨していた領域に、リクルート系など異業種が参入。レジ市場は戦国時代を迎えつつある。(日経09-19)
モバイルPOSはリクルートライフスタイルのアプリ「Airレジ(エアレジ)」や、スマレジの「スマレジ」。パーソルプロセス&テクノロジーの「POS+(ポスタス)」などが販売されている。
モバイルPOS最大手、リクルートのエアレジは13年に開始。飲食店情報「ホットペッパーグルメ」の営業網などを生かし、19年6月時点で約42万の飲食店や小売店が導入している。エアレジ自体とアプリは無料。レシート印刷機やドロワー(現金収納・引き出し機)をタブレットに接続すると、POS機能が付いたレジとして使える。これら周辺機器は約10万~20万円で、据え置き型POSレジの5分の1程度で済む。リクルートは従業員の勤怠や予約の管理、キャッシュレス決済などの自社有料サービスを販売し、利益を得る仕組みだ。
消費増税を機に簡易レジからの買い替えや、レジを使っていない店への導入が進む。専用売り場を設けるビックカメラでは4~8月、エアレジ関連製品の販売が前年同期比3倍に伸びた。購入の8割が個人店だという。
一方、従来からの据え置き型レジは10月の増税を前に、複数税率に対応させたり、ボタンに割り当てる機能を変更したりするには、システムを更新する必要がある。だが、駆け込み需要の影響で作業を担う人員が逼迫している。
モバイルレジはアプリを更新するだけで、自動的に軽減税率に対応できる。この手軽さがモバイルPOSレジの普及を後押ししているのは間違いない。
スマホの普及がパソコン市場を大幅に縮小させたように、今後はタブレット型の台頭がPOSレジ市場の勢力図を塗り替えそうだ。大規模小売店やチェーン店に強い東芝テックやNECプラットフォームズも、新勢力との戦いを迫られている。