働き方が変わればなぜ生産性に変化が生じるのか

日本で労働生産性が問題になるのは、それが諸外国に比べて低く、OECD35か国中21位にとどまっているという現状だからだ。先進7か国ではもちろん最下位だ。生産現場はともかく、長時間の会議や、会議に使う資料づくりなど付加価値を生まない仕事の多いホワイカラーの生産性の低さはとくに問題とされる(日経3-9)。

フリーアドレスというオフィスの形態が大手企業をはじめとして普及してきたのも生産性の向上が主な目的だ。マネジャーや部下の働き方を変えることでホワイトカラーの仕事の効率を上げる。これによってマネジメントの方法を根本から変えてしまおうという経営の期待は大きい。会議のやり方でいえば長時間の会議を減らして臨機応変にサクッと行える短時間のミーティングに切り替えてみる。営業部門へのフリーアドレスの導入で事務作業を劇的に減らし、商談時間を大幅に増やすという成果につながった企業の例もある。一方で生産性につながる密度の濃い労働時間にするための残業規制、長時間労働の是正は業種を超えた最重要の経営課題になっている。政府は残業時間に上限を設ける法案成立をめざす。

短い時間で成果を生み出そうとする働き方改革は、働き方に多様な選択肢を生んでいる。通勤時間を節約できる在宅勤務や、時短によるチームワークのあり方、企業と社会の垣根を低くするシェアオフィスの活用など、従来の枠にとらわれない働き方の広がりは日本の労働生産性に変化をもたらしていくだろう。