テレワーク導入にあたり注意することとは
オフィスに通勤せず自宅などで仕事をする「テレワーク」が広がりつつある。最近は子育てや介護といった特別な事情のある社員の両立支援策だけでなく、働き方改革の切り札のひとつと捉える企業が出てきている。どんな場所でも、どんな人でも働けるテレワーク。一過性のブームに終わらせず、柔軟な働き方として定着させたい。(日経03-27)
総務省の2017年の調査によると、従業員100人以上の企業でテレワークを導入している企業は13.9%。まだ少数派だ。導入したいが具体的にどうしたらいいのかわからないという企業の声も多い。
テレワークで成果を上げるには、企業は運用上の注意が必要だ。まず、業務の内容がテレワークに適しているかどうかを事前に見極めるべきだ。一人で集中してやりたい文書作成などは適している。時間を効率的に活用できるほか、社員のワークライフバランスの向上や健康維持にもつながる。
もう一つは安易に対象者を広げないことだ。本人の仕事の力量が一定水準以上であるのはもちろん、家族など同居人がいるなら理解も必要だ。在宅勤務中にもかかわらず、同居人が用事を頼んでくるような環境は適していない。働いた時間ではなく、仕事の成果が求められていることを本人に理解させたうえで、上司が面談しテレワークを認めるかどうか決めてはどうか。
上司の事前研修も欠かせない。上司は目の前にいないテレワーク中の部下をきちんと労務管理し、成果を評価するノウハウを身につけなければならない。サービス残業を回避するには、端末の稼働時間を上司がチェックすることも有効だ。社内のコミュニケーションが希薄にならぬよう、週2日までといった利用制限を設けることも必要になる。
15~64歳の生産年齢人口が全体の6割を切る中で、時間や場所に縛られず柔軟な働き方ができる環境整備は、企業にとって喫緊の課題だ。他社が導入しているからと追随するのではなく、成果を上げるために導入してほしい。導入後も試行錯誤を繰り返し、改良し続けることが重要だ。