コンビニの24時間営業は必要か

大阪府東大阪市の加盟店オーナーが2月に人手不足を理由に営業時間を19時間に短縮し、契約違反を指摘するセブンイレブンと対立している。人手不足のこの世の中、コンビニエンスストアの24時間営業は本当に必要だろうか。深夜から早朝までわずかな来店しかない地域もある。だが、店員は休めない。実情に即した事業モデルを考えるときだ。(日経03-05)

 

コンビニ最大手のセブン―イレブン・ジャパンは1974年に1号店を出し、その翌年から24時間営業を始めた。地域の生活インフラとして公共的な役割を担うようになった。今ではオフィス内や駅構内などを除く96%の店舗が24時間営業をしている。だが、最近では外国人労働者を入れても現場は回らず、地方では深夜にお年寄りのオーナーがやむなく売り場に立つこともある。

そのセブンイレブンが人手不足を理由に深夜は店を閉めた加盟店との対立をきっかけに、24時間営業の見直しに向けた実験を10店舗の直営店で始める。

同じ生活インフラでも、鉄道は24時間は運行していない。コンビニも店内の清掃や商品の補充などの深夜に発生する作業は、店を閉めても対応できるはずだ。自動の食洗機やセルフレジの導入などで省力化を進めてはいる。昨年末に無人店舗ができたものの、実験店舗であり、オフィスビルの中の社員専用という限られた店舗だ。この問題は無人店舗では根本的な解決にはならないだろう。営業時間の見直しには、コンビニ経営の要である加盟店契約や製造、配送体制にまでメスを入れなければならない。痛みも伴うが、長期的な視点に立ち、持続可能な成長モデルを築いてほしい。

「24時間戦えますか?」とある名コピーが頭をよぎる。あるコンビニオーナーは24時間とまでいかなくとも、18時間労働を5年間休まず続けているという。便利な生活と引き換えに長時間労働を余儀なくしている代償を消費者として考えるべきであろう。