イクボス育成が企業の垣根を超え、すそ野が広がっている
ワーキングマザーの苦労は語られることが多いが、彼女たちを部下に持つイクボス(家庭を持つ女性社員の働き方を支援する上司)の実態は案外、表面に出てこない。イクボスについて興味深い取材を日経新聞のコラム(10-29)が試みている。
建設業界は人材確保の面からイクボス育成に取り組む企業が増えた。今年からイクボス企業同盟(加盟100社を超えたイクボス育成の企業ネットワーク)に加入した建設会社に勤務する54歳の男性部長のケース。部下は112人。ワーキングマザーも少なくない。マネジメントの基本は「一人一人をよく知ること」。育児中の女性部下とも丁寧に状況を聞き取り、一緒に無理のない、効率的な仕事のやり方を考える。家族の介護や病気で時間に制約がある部下が増えているが、それが原因で社員がやめることなく、長く働いてもらえるよう工夫するのが上司の役割と心得る。一人一人の事情を踏まえて有効な指導や育成の方法をともに考えるイクボスの一人だ。
イクボス育成に取り組む企業が、業界や企業規模の垣根を超えてすそ野が広がっている。この背景には従来型のマネジメントでは離職率は改善しないし、採用にも影響が出るという企業の危機感がある。イクボス育成も働き方改革も1社でやるのでなく、業界やグループ全体で連携を取り合い、進めるほうが効果的だという動きになってきた。