ゆるい拘束、フリー出勤で大手企業に対抗する職場の魅力づくり

中小企業が働きやすい職場づくりに知恵を絞って大手企業に対抗している。パート従業員などを正社員並みに処遇したり、好きな日に自分の意志で働ける「フリー出勤日」を設けたりと、柔軟な働き方を制度化する動きが広がっているのは景気回復で大手企業との採用を競う場面が増えてきたためだ。大手の採用意欲が高まる中、中小企業が優秀な人材の獲得や離職防止につなぐ狙いがあると日本経済新聞が伝えている。

 

女性向け就職支援サイトを運営するL社(東京)は他社と掛け持ちで働く人やフリーランスが正社員並みの待遇で働ける「メンバーシップオプション制度」を設けた。ほかの社員と同じ福利厚生を適用し、将来の上場も念頭にストックオプション(株式購入権)も与える。この制度で入社したデザイナーは、週4日は同社で残りは自ら経営する会社で働く。「職場を掛け持ちすることで、学びや経験を双方の仕事に生かせる。理想の働き方に近い」と話している。

 

エンジニアやデザイナーが不足しているIT業界では、優秀な人材ほど特定の職場に縛られるのを嫌がる傾向が強い。「ゆるい拘束」で人材のつなぎ止めを狙うメンバーシップオプション制度は、企業、働き手双方にとって価値ある制度となりそうだ。また、「フリー出勤日」は有給休暇制度と関連する制度と思われ、有給休暇がなかなかとれないという長年の問題をどれだけ改善できるか未知数だ。(9-28 山﨑)