そもそも会社を離れていく人材を手離さない方策に知恵を絞る
経済金融ニュースのブルームバーグが(11-17)、日本経済の急成長には強力な隠し玉があると論じている。OECDの村上由美子・東京センター長によると、「24か国・地域の16~65歳を対象にした調査で日本の女性は数的思考力、読解力でいずれも参加国中トップのスコア」ということから、これら女性の潜在力と合わせて勤労意欲の高い高齢者の活用で何十年も改善していない生産性を向上させれば急成長が期待できるという指摘だ。
日本の女性が結婚後、出産・育児に手がかかる30代、40代で職場を離れることは世界的にもよく知られている。生産性の低さはこれが原因の一つでもある、というのは彼女たちが再び戻ってくるのは多くが賃金の低いパートタイムの職場だからだ。出産後も仕事を続ける女性は増加傾向だが、一度離れた職場に戻る割合はまだまだ低い。
先の調査では55~65歳の高齢層でも、日本は読解力と数的思考力でいずれも1位だった。先進諸国の中でも勤労意欲はひときわ高い日本の高齢層なのだが、しかし、多くが55歳以上になると定年を迎え、就業率は一気に下がってしまう。まさしく女性の出産離職と似た構造だ。
高齢化が進み、生産年齢人口が減少する日本。これはどう考えても離職後の職場をさがすよりも、そもそも会社を離れていく人材を手離さない方策に知恵を絞るのが手っ取り早いのではないか。せっかくの隠し玉が埋もれているのはいかにも勿体ない。(岩崎)