いよいよサラリーマン・OLの生活を直撃するか、働き方改革
働き方改革が功を奏して、これまでになかった経済現象が生じていると日経新聞(5-13)が伝えている。まず残業は景気がよくなると増え、悪くなると減るというのが通例だったが、昨年はGDPのプラス成長が続いたにもかかわらず、残業は減った。
それでも給与総額が減らなかったのは年内の賃上げ効果があったためで、前年比プラスを維持した。ところが毎月の勤労統計調査(厚労省)では、この3月に残業時間が大きく減り、同時に総額も押し下げられるという現象が現れた。働き方を変えよう→残業を減らそう→収入が減った→消費にマイナスという、サラリーマン、OLの生活を直撃する事態となってきたのは明らかだ。給料が減るとたいがいの人は減った分、消費を抑えようとするからだ。
残業を減らす流れは今後も強まるだろう。しかし、だからといって消費を抑える傾向がいつまでも続くのではないという見方もある。時間ができたら消費したいという層が意外にいるというのだ。例えば趣味や教養のスクールだ。都内の英会話スクールは夜7時45分以降のレッスンが2割から4割近くも増えたという。
しかし、大方のひとが働き方のせいで残業が減り、それが収入減につながるのでは現場のモチベーションが上がるわけがない。もともと、この改革には生産性を上げて豊かな生活をめざそうという狙いがある。大手の企業の中には生産性の向上をもくろんで月1万円の給与を引き上げた例がある。この動きが一般化すれば政府の改革は半ば成功ということになるだろう。