「専業主婦がいない国」は「専業主婦が半分の国」を変えられるか
来年から女性活躍推進法がスタートする。9月の法案成立以来、マスコミの特集記事が目立って増えてきた。読売新聞では女性活躍の先進国であるスウエーデンの企業、イケア・ジャパンのピーター・リスト社長からダイバーシティ・マネジメント(平等経営)の実際を聞いている。なるほど、聞けば聞くほど、先進的だ。
まずマネジメントの基本理念だ。「男女平等はビジネスにとって良いという信念を持っている」とリスト社長は言う。「家庭での経験は大いに役に立つし、多様な顧客の要望には多様な人材がいたほうが応えられる」というわけだ。ワークライフ・バランス(仕事と生活時間の調和)を求めて転職してくる男性も多く、同社には人手不足の心配がない。本国のスウエーデンで女性活躍の改革が行われたのは1970年代のことで、これで「専業主婦のいない国」が誕生した。日本でも最近、「クオータ(quota)制」(性別や属性別の枠)を設けて企業役員や国会議員数の割り当てを試みようとしているが、イケアの管理職は女性がすでに45%に達している。このせいで意思決定が的確に出来るようになり、業績も上がった。同社は最終的に男女比率を半々にする目標をあげているが、リスト社長は「数値目標をつくるだけでは意味がない。その利点と成果を知ることが大事だ」と述べる。
2020年までに管理職の女性比率を30%にするというのが現政権の公約だ。だが、国会議員一つとっても女性比率は1割に過ぎない。それも目に見えない男性クオータ制だという声が聞こえてくる(11-6 岩崎)。