「働き方改革」市場が未参入の企業を吸い寄せている

フリーアドレス、テレワーク、時短勤務…。このところすっかりお馴染みになった「働き方改革」用語だが、どうやらこの改革にはIT(情報技術)活用が不可欠のようで、それに気付いたIT系企業がチャンス到来と次々に動き出していると日経新聞が伝えている(日経2-28)。

 

先頃、全社員3万5000人の在宅勤務を発表した富士通が典型的な例だろう。同社は自社のITサービス活用を促進するため、自らを「ショーケース」とみなして顧客開拓に乗り出した。同社の「テレワーク勤務制度」は国内最大規模、上司の許可さえとれば何回でも利用できる。また自宅だけでなく、外出先や別拠点のオフィスなど働く場所を選ばない。特徴的なのは「長時間労働を前提とせず多様で柔軟な働き方を実現する」という考えだ。これはそのまま働き方改革に通じる結果重視の価値観だ。

 

政府は長らくの慣行となっていた残業時間の上限を月平均60時間、年間720時間で規制するつもりだ。これで働き方改革は一気に突っ走ることになるだろうと同紙は予測する。このときテレワークの関連ソフトだけでも市場規模は年間2000億円と試算され、テレワークでその規模なら全体でどれほどの規模になるのか、途方もない「働き方改革」市場が出現することになりそうだ。

 

この「特需」は、これまで縁が薄かった企業も吸い寄せる。カラオケの第一興商はカラオケルームがテレワークに使えないかと、NTTコミュニケーションズと組んでネット環境完備の実証実験を始めた。テレワークの導入は全企業でまだ2割そこそこ(総務省調べ)。企業の参入はまだ始まったばかりだ。