第1回
女性活躍をサポートする会社は
女性が活躍している会社だった
株式会社カラーズ(東京・港区)
大きな窓から外光が差し込む明るい雰囲気のミーティング・ルーム。ここでは、「ベビー シッター講座 」をはじめ、説明会 、研修 など、さまざまなイベントやミーティングが、随時開催されている。
㈱カラーズの新しいビジネスモデルはインターネットを活用した女性支援事業である。
働く女性にとって、仕事と出産や育児との両立は大きな試練となる。そこにフレキシブルに利用できるベビーシッターによる育児支援サービスがあれば、一人でも多くの女性の活躍が応援できると考えた。お子さんをもつ女性が社会で働きやすいことは言うまでもなく、ベビーシッターとして働く女性にとっても活躍の機会拡大につながる。
広く社会で活躍する女性を、ユーザー、ベビーシッターの両面からサポートしている㈱カラーズについて、女性の活躍をサポートする会社という視点と、同社自身、女性が活躍する会社ということで両方の視点から、佐々木恵さん(29歳)に話をうかがった。佐々木さんは同社が創業した昨年、6年間勤務したリクルートを辞めて転職してきた。現在は法人営業を担当する。
ベビーシッターサービスを取り入れたい企業向けの営業を担当する佐々木恵さん。いずれはワーキング・マザーになることを想定しているので「そうなったら、私はヘビーユー ザーになること間違いない(笑) 」と語る。
「そしてここが一番のポイントだと思いますが、ネットを活用しながらも、安全面や信頼性を担保するために、ベビーシッター登録者は全員、面接後、座学と実地の研修をクリアーしたうえでの登録が必須です」(佐々木)。
経沢香保子社長が自ら登壇することもある「ベビーシッター 講座」。信頼できるベビーシッターの登録者が揃っていること。それがこのビジネスモデルの基本。女性を応援する事業 への情熱は、座学、実地の研修を通じてしっかり受け継がれていく。
現在、ベビーシッター登録者数は(262名(2016年2月19日現在))。SNSなどによって有名上位校の大学生の登録者数も増え、口コミも加わって登録者数は日々拡大しつつあるそうだ。
事実、「ユーザーの9割はワーキング・マザーであり、企業経営者や管理職など責任ある立場で活躍されている女性にも多くご利用いただいています」(佐々木)。
ベビーシッターの新しい戦力として成長いちじるしい女子大生の登録者たち。ベビーシッターとして働くことで在学中から将来の自分を見据えて活躍できる。ユーザーであるワーキング・マザーから学べることも多い。
カラーズ自体が女性活躍の典型的企業
ベビーシッターを福利厚生の一環として取り入れたい企業向けの営業も担当している佐々木さんも既婚者だが、まだ子どもはいない。だから、「産まれるということになったら間違いなく自社のヘビーユーザーになるでしょうね」と笑う。
その言葉どおり、㈱カラーズ自体が女性を中心に活躍している典型的な企業といえる。社員のほか、アルバイトやインターン、業務委託などを合せると20数名が在籍し。その7割が女性という構成。そして半分以上が既婚者であり、子どもがいて当然のように福利厚生の一環として自社のサービスを活用している。それぞれに自分なりに働き方を決めて幅広く責任ある仕事に専念しているのだ。
オープンなミーティング・ルーム に隣接して設置されているキッズ・スペース。子ども連れのベビーシッター登録者やスタッフの利用も多く、面接や研修などの間、お子さんにはここで遊んでいてもらう。年齢層に合せた玩具や遊具、お絵かきボードなどが用意され、自由気ままに過ごしている光景が愛らしい。
「仕事内容が人それぞれのように、働き方にもそれぞれスタイルや価値観があり、それを実現できる選択肢があることこそ重要です」(佐々木)。 高い目標を共有し、それを達成するモチベーションの高い会社ほど選択肢が多いが、㈱カラーズも同じように女性活用を進化させながら、大きな成果をもたらしているようだ。
「多様化」を意味するダイバーシティ(diversity)への取り組みが声高になっている。本来の言葉の定義は「男女、年齢、国籍などの枠を取り払って、社会を活性化しよう」というものだが、最近はとくに「女性の活用、戦力化」という意味でよく使われる。その実現に必要な条件は平たく言ってしまえば、「子どもが生まれても女性にとって働きやすい環境があるかどうか」に尽きる。
白を基調としたオフィスは、フリーアドレスのデスクで構成され、ウッディなデスクやイスなど、温かみのあるオフィス家具が空間を演出 。急成長企業ならではの活気にあふれている
(Report 児玉元秀)