存在感増す女性社長だが、意外に多かった前任社長からのバトンタッチ

 女性が会社を起こすのは結婚や出産を迎える年代、とくに30代が多いというのが帝国データバンクの調査で分かった(日経5-9)。これは昨年以降、新設された会社で女性が社長を務める企業を調べたもの。同社の調査ではさらに興味深い結果がある。

 昨年以降、女性が社長に就任した企業は5740社(全国の社長全体に占める割合は11%だ)。このうち社長交代による就任が9割を超え、残りが会社新設によるもの。つまり女性の起業で社長になったというものだ。女性が前任の社長から経営をバトンタッチするケースがこんなに多いとは注目に値する。女性活躍で管理職登用の困難さが話題となる昨今だが、現実は権限委譲、経営移譲が想像以上に進んでいるということではないだろうか。女性の活躍推進が301人以上の企業でほとんど義務付けられた格好だが、この活躍ぶりを見るかぎりさほど悲観することもあるまいという気になってくる。

 だが一方でこんな意見もある。日本の女性社長はたしかに増えてきたが、大塚家具の大塚久美子社長(47)や日本マクドナルドのサラ・カサノバ社長(50)のような大企業のトップはまだ少なく、ほとんどが中小企業や個人事業が中心だということだ。存在感を高める女性社長だが、産業界を動かすような勢力になるにはもう少し時間がかかるということだろう。