女性活躍が叫ばれるのに、女性経営者は社会保障の対象外という現実

 読売新聞「WOMEN」欄に女性社長についての興味深いレポートが掲載された(2-16)。国内約145万社のうち女性社長の割合は7.5%。その数は1万社を超え、24年連続の増加を続けているということだ(帝国データバンク調べ)。これはよその国に比べて多いのか少ないのか。ズバリ比較できる数字は見つからないのだが、総務省の資料に「就業者に占める経営者の比率」というのがあった。

 その数字をもとに推定すると、中国が女性社長の割合で日本の5.3倍、ブラジルが5.2倍、以下、オーストラリア(3.8倍)、アメリカ(2.8倍)、インド(2.5倍)と続き、やはり日本の女性社長は国際的に見て発展途上といえるようだ。
 日本で女性社長がまだ希少的存在であるのは、彼女たちに対する社会保障制度が未整備であることにもつながっている。例えば女性経営者は出産や育児に関する社会保障制度の対象外だ。労働基準法に定められた産前産後休業や育児介護休業法による育児休業が適用されないのだ。

 理由は簡単で、男性を含めた経営者が雇用保険の対象外になっているように、経済的サポートは基本的に設けられておらず、例外は健康保険による出産手当金や出産育児一時金が受け取れるだけということらしい。レポートでは専門家の言葉を借りて、「雇用保険の任意加入を認めるなど女性経営者が安心して出産、育児できるような仕組みづくりが必要だ」と結んでいる。正直言って驚いた。女性活躍の推進が叫ばれる昨今、この程度のサポートなくして、活躍せよ! 起業せよ!とはちょっとつじつまが合わない。(2-18 岩崎)