新品だけど新品らしくない武骨なレンガ、
「ソイルブル」を開発したのは、
入社間もない頼もしいお姉さんだった

株式会社ユニソン

株式会社ユニソンは、愛知県豊田市に本社を構えるガーデンエクステリア商品の総合メーカーです。 コンクリートやレンガなどの資材をはじめ、ポストや照明などのガーデン商品を取り扱っています。機能性とデザインの両面を重視する開発現場では、大勢の女性社員が活躍しています。
今回お話をお聞きしたのは、商品企画部の平松里佳子さん。同僚からは「こだわりの強い、頼もしいお姉さん」と言われる彼女は、「ソイルブル」というブルックリンスタイルのレンガの開発者です。色からネーミングまで、すべてにこだわったソイルブルは、ユニソンを代表するヒット商品となり多くの人に愛されています。
この商品が誕生するまでに、どのような道のりがあったのか。開発時のエピソードを聞いてみることにしました。

ヴィンテージとモダンをミックスした無骨なレンガ「ソイルブル」。個人住宅から店舗の建材として使用される。カラーは全4色。2018年4月には従来の厚みのあるタイプをスリムにした張材が発売され、より幅広い層に求められることが期待されている。

 

ヴィンテージの趣きを持った無骨なレンガ

建材に使用されるレンガと聞けば、形が整ったものを想像するが「ソイルブル」は一味違う。スタンダードなレンガとは異なり、長年使いこまれたかのような風合いを持っているのだ。一般的なヴィンテージレンガは建物を解体する時にしか手に入らないため、安定的な供給が難しい。さらに、解体時に欠けてしまうリスクがあり形が不揃いになってしまうことがある。そんなヴィンテージレンガの弱点を踏まえ、生み出されたのが「ソイルブル」だった。
 
新品なんだけど、新品らしくない。工業製品なんだけど、人のぬくもりを感じる凹凸を出したい。──開発者の平松さんのこだわりとは?

商品企画部 平松里佳子さん。以前は文房具やインテリアのデザインの仕事をしていたが、自然の風合いを活かしたエクステリアに興味があり、ユニソンに入社した。「ソイルブル」は平松さんが入社後に初めて開発した思い入れのある商品である。

 
「現在、インテリア業界では『ヴィンテージ感』や『ブルックリンスタイル』が注目されています。
ヴィンテージレンガはそういった雰囲気が好きな方たちに好まれるのですが、本物を入手するのは難しいという課題があります。
そのような現状やニーズを踏まえて開発したのがソイルブルです。工業製品でありながら、使いこまれたような歪さを持ったレンガを安定生産するという難しさをどうクリアするか。試行錯誤を繰り返しながら開発にあたりました」(平松さん)

「こんな空間で使ってもらいたい」というイメージを社内で共有することから開発がスタートする。「ソイルブル」は、新しく家を持つ人たちが自分らしいライフスタイルを追求し、家の中でも外でも楽しんで生活する姿を想像しながら考案したという。

工場の職人とやりとりをしながら、焼き上がりの色を追求する

ヴィンテージ風の色や形をどこまで追求できるか。歪になりすぎれば施工しにくいものになってしまうため、規格の範囲内で仕上げなければいけない。

 

商品のイメージが決まったら、工場に行き職人たちと打ち合わせを行う。商品の仕上がりに関して、絶妙な落とし所を決めるのも平松さんの仕事だ。工場で働く職人は男性ばかりだが、開発メンバーには平松さんの他にも女性社員がいるため、心細い気持ちにはならなかったという。女性ならではの感性を活かし、商品の細部の仕上がりまで丁寧に考えていく。
 
「商品は、工場内の大きな窯を使うため2カ月に1度しか焼くチャンスがありません。開発期間内に窯を使えるのは最大で4回。それ以降になると次期のリリースに間に合わなくなってしまうため、開発スケジュールとの闘いでした。焼き上げてみたものの、想像していた色味と違っていたため2ヶ月後にやり直しをしたり……。窯の温度や酸素の入れ具合、色粉の付け具合などで色味は変わってくるので、工場に焼き上がり品を見に行く時は楽しみな反面、とてもドキドキしていたんですよ。特に『セントローズ』のカラーはイメージしていた色に近づけるために最後の4回目までチャレンジしているので、それだけ思い入れも深いです。これで決まらなかったらどうしようというプレッシャーもありました。思っていた通りに焼きあがった時は、本当に嬉しかったです」(平松さん)

形、色味以外にもこだわったポイントがある。カラーごとのネーミングである。「セントローズ」「ディーゼルブラウン」「コールブラック」「シガーホワイト」という名前も平松さん他、商品企画部内の女性ののアイデアによるもの。商品の世界観を想起させる個性的なネーミングは、社内でも評判が高い。

 

開発において大切なことは、最初にしっかりとゴールを定めること

ユニソンにおける商品開発の道のりは、現地集合の旅行のようなものだという。行き先は最初に決めて、全員がそれぞれの方法で現地に向かう。交通手段はバスでも電車でも徒歩でも構わないが、目的地だけは絶対に変えてはいけないというルールがある。

 

「ソイルブルは最初にコンセプトがしっかりと決まっていたので、メンバーが同じ思いを持って開発に携わり、諦めないでやり遂げることができました。イメージをしっかりと共有できていれば、困難があってもなんとかやっていけそうな気がするんです。目線が同じなので貰えるアドバイスが的確だし、反応も速い。私一人だったらできなかったと思います。同僚たちにはよく、しつこいって言われますが(笑)。みんなのおかげで会社もお客様も納得できる商品を生み出すことができました」(平松さん)

レンガ以外の分野の開発にも挑戦!

平松さんが開発したポスト。どんな建物の玄関にも馴染むスタイリッシュなデザイン。

 
現在、平松さんはレンガだけでなくポストの開発にも携わっている。
 
「ソイルブルと掛け持ちでポストの開発も行っています。現在ニーズが高まっているのは、建物のノイズにならないポストです。それから、戸建に設置できる宅配ボックスの開発も担当しました。ユニソンは資材やガーデンアイテムなど色々な商材を扱っている総合的なメーカーなので、全ての商材を見渡しながら開発のヒントが得られるという良さがあります。レンガ、ポストにとどまらず、照明や水道など今後も開発の分野を広げていきたいと思います」(平松さん)
 
開発チームのメンバーを先導し、商品開発を進める平松さん。今後も、彼女だからこそ持っている視点を活かし、まだ世の中にはない新しい商品を生み出していくのだろう。
 
 
提供:株式会社ユニソン http://www.unison-net.com/

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