ホールフード“クロレラ”の魅力をすべての人に伝えたい!
1人の女性の熱い想いが、新しい市場を切り拓いた

株式会社 サン・クロレラ

健康食品メーカーのリーディングカンパニーとして、半世紀にわたってクロレラを主力とした製品づくりを行ってきた株式会社サン・クロレラ。太陽エネルギーを十分に享受できるよう屋外培養にこだわり、消化吸収を上げるため独自の特許技術でクロレラの細胞壁破砕を施すなど、最高品質のクロレラ製品を世に送り出しながら、クロレラのホールフード(一物全体食)としての魅力を、日本全国、そして世界に向けて発信しています。
今回ご紹介するのは、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの各種栄養素を59種類以上も含む、自然由来の栄養素をバランスよく含む理想的な天然食材であるクロレラを、料理に使えるように微粒子パウダー状に加工した「クロレラパウダー for Cooking」。クロレラの栄養を効率よく摂取できる画期的な食材の誕生と開発にまつわるエピソードや同品がもたらした功績などを開発担当者である井上 ゆかりさんにお伺いしました。

井上 ゆかりさんは、北海道札幌市出身。

井上 ゆかりさんは、北海道札幌市出身。2001年に北海道足寄町にある株式会社サン・クロレラの足寄研究所で研究員として採用され、2005年より京都市の本社生産開発部に異動となる。2013年頃より「クロレラパウダー for Cooking」の開発に着手し、広告やPR活動にも関わった後、ブランドコミュニケーションズ部に異動となる。現在は、同部課長としてブランディングを担当する。

 

世界が注目するスーパーフード「クロレラ」

高麗人参、ローヤルゼリーと並んで、健康食品の御三家といわれる「クロレラ」。一過性の流行やブームに影響されることの多い健康食品の中で、半世紀に渡って多くの人に愛用されている。多くの人が一度は耳にしたことがあり知名度抜群の健康食品だが、どんなものかと問われると正確に答えられる人は意外と少ないのではないだろうか。
クロレラとは、淡水産の植物性プランクトンで、緑藻類の一種。生命力と繁殖力に優れているのが特徴で、たんぱく質やビタミン類、ミネラル類などを多く含んでいる。栄養価が高いことに加え、栄養バランスに優れていることから、最近では「スーパーフード」として、世界で注目されるようになっている。

 

「不足しがちなビタミンやミネラルの補給対策として、厚生労働省により『1日の野菜摂取目標350g』が推進されていますが、日本人の野菜摂取量は減少傾向が続いています。その解決策として、当社がおすすめしているのが丸ごと摂取できる「ホールフード(一物全体食)」としてのクロレラです」と井上ゆかりさん。
「ホールフード」というのは、野菜なら葉っぱから根っこまで、魚であれば頭から尻尾までというように1つの食べ物を丸ごと全部食べることで、その食べ物自体が生物としてバランスよく持っている栄養素をそのまま過不足なく摂取しようという考え方のこと。野菜の皮やへた、糠を取り除く前の玄米などには、フィトケミカルという抗酸化成分が多く含まれていることはよく知られているが、最近は美食の名のもとに美味しいところだけを食べる「部分食」が当たり前となっており、食材全部を食べる機会がどんどん失われつつある。
毎日の食事で野菜や魚を丸ごと食べるのは困難でも、藻の一種であるクロレラなら、ひとつあたりが非常に小さいため多くの栄養素を丸ごと摂取することが可能になる。

「クロレラパウダー for Cooking」の開発メンバー。左から三大寺さん、次長の溝口さん、井上さん、前田さん、西村さん。

「商品開発を進めていく中で、ホールフードとしてのクロレラの良さは、私自身が人一倍よく知っていました。しかし、クロレラの良さを一般の人たちにどう伝えれば、理解してもらえるのか、手に取ってもらえるのかということが大きな課題でした。そこで、もっと親しみやすい商品が必要だと考えたのです」。

社内の逆風を乗り越え、クロレラの魅力がダイレクトに伝わる商品を生み出す

粒状のクロレラは、どうしてもシニア層に偏ってしまう。若い人にクロレラを知ってもらうためにどんな商品がいいだろう。そう考えた井上さんは、手軽にクロレラを摂取できるクロレラ茶やクロレラゼリーといった新感覚のクロレラ商品を次々と開発していく。その結果、今までになかった顧客層にもクロレラを手に取ってもらえるようになった。しかし、皮肉なことに、お客様にクロレラの良さを知ってもらえば知ってもらうほど「クロレラ100%の商品が欲しい」という声が増えてゆく。
ならば、何も加えていないクロレラを微粒子のパウダー状にして、料理に使えるようにしてみてはどうだろう。そうひらめいた井上さんの脳裏に、かつてある社員から聞いた「子どもが粒状のクロレラをボリボリ噛んで食べる」という一言がよみがえっていた。
「子どもが好んでわざわざ噛むということは、クロレラ自体を美味しいと感じているのだなと思ったんです。大人は粒状のクロレラを噛んで食べようとは思いませんが、改めて良く味わうと確かにクロレラは苦みや渋みではなく、旨味を感じる素材です。もちろんこれまでもクロレラの味は知っていたつもりでしたが、そのお子さんのお話からクロレラに対する認識が『美味しいもの』というふうに大きく変わりました。それならパウダー状にしてお料理に混ぜることで料理がより美味しくなる上、用途の幅広さや使い勝手の面でもご満足いただける商品になると確信しました」

料理用のクロレラパウダーの開発に乗り出すことになった井上さんの前には、大きなハードルが二つ立ちはだかった。そのひとつが、クロレラのざらつきと舌触りの悪さだ。これを克服できなければ料理に使うことは難しい。そこで、いくつかの加工会社に微粉砕処理を依頼してみたところ、極限まで細かい粉末に加工してくれる会社が1社見つかった。ざらつきのない滑らかな舌触りのパウダーが完成すると、驚いたことにクロレラの緑色が以前にも増して鮮やかに発色するように。これなら十分料理に使えると太鼓判を押せるところまで品質のグレードを上げることができた。

左側は、同社の主力商品である「サン・クロレラA」に使用されている粉末。右側は、左側の粉末の1/4~1/3程度の粒子サイズになるように微粉砕加工された「クロレラパウダー for Cooking」。

左側は、同社の主力商品である「サン・クロレラA」に使用されている粉末。右側は、左側の粉末の1/4~1/3程度の粒子サイズになるように微粉砕加工された「クロレラパウダー for Cooking」。右側のほうが明るく鮮やかな色をしていることがわかる。

しかし、井上さんには越えなければいけないもう一つのハードルが社内に待ち構えていた。
長年、健康食品を製造販売してきた企業にとって、“料理にクロレラを使う”という発想は、まさに青天の霹靂。健康食品であるクロレラを食材として料理に使うという発想が、社内では否定的に受け取られていた。「そんなものが売れるのか?」。あからさまに商品開発を疑問視する社員も多かった。そこで、科学的にクロレラの味をデータ化するために『味覚センサー』という機械を使って客観的な味の評価を行おうと考えた。
「分析の結果、クロレラは天然だしに匹敵する旨味やコクがあるという驚くべき結果が出たのです。これには私もびっくりしました。しかし、この結果をデータで見せても多くの社員に信じてもらえない。そこで、クロレラパウダーを使った料理の社内試食会をやろうと思いつきました」。

(株)味香り戦略研究所にて味覚センサーを使った味の分析を行ったところ、グラフの通り、天然だしに匹敵する旨味とコクがあることが科学的に示された。

(株)味香り戦略研究所にて味覚センサーを使った味の分析を行ったところ、グラフの通り、天然だしに匹敵する旨味とコクがあることが科学的に示された。※クロレラパウダーは3%濃度水溶液、天然だし4種は一般的な使用濃度に煮出した「だし汁」との比較。天然だしは市販品を使用。産地、季節等によっては味のポジションが変わる場合がある。

社内試食会でクロレラ料理の試食をしてもらったところ、狙い通り社員の反応は良好。クロレラの美味しさを社内にアピールできたことで、クロレラパウダーの商品化がようやく決定する。食べた人からの反応の良さに、井上さんはこの時すでに料理用クロレラパウダーの成功を確信していたという。

クロレラパウダーを使った料理の社内試食会の様子。これによりクロレラの美味しさを多くの社員が知ることになり、商品化が決定した。

クロレラパウダーを使った料理の社内試食会の様子。これによりクロレラの美味しさを多くの社員が知ることになり、商品化が決定した。

家庭から飲食店や料理教室へ。その後、ヴィーガン市場をも開拓!

これまでの健康食品とは違う、全く新しい商品として誕生した「クロレラパウダー for Cooking」の次なる課題は、商品の認知度をいかに広げていくかということだった。ターゲットとなる「子どもを持つ若いママ」に商品を知ってもらうために、ママイベントに出展するなど新商品のPRを積極的に行った。
「知ってもらう、手に取ってもらう、そして試してもらうというステップを踏んでいただくには、お客様と対面で接する必要があると考えたからです。お客様と交流する中で、お子様が野菜嫌いで困っている、野菜のえぐみが嫌で食べないという話をよく耳にしました。お子様に野菜を食べさせられないことに罪悪感を持つママはとても多い。しかし、このクロレラパウダーで必要な栄養素が補えれば、ママもお子様も喜びます。クロレラパウダーをマヨネーズに混ぜるなど、簡単にできて子どもにも難なく受け入れてもらえるような使い方、食べ方をアピールしました」。

元々クロレラは、色鮮やかな緑で、かつ色持ちが良いという特性がある。抹茶を使ったお菓子にクロレラが添加されていることが多いのもこのためだ。
「お菓子やパンに入れて発色を鮮やかにしたり、色持ち良くしたりといった使い方にも注目が集まるようになり、『クロレラパウダー for Cooking』の利用の幅が一段と広がりました。クロレラパウダーを入れると、栄養バランスが良くなるだけでなく見た目も美しく仕上がるので、食品原料としての需要も徐々に増えてきました。最近は、健康意識の高いカフェやレストラン、料理教室などでお使いいただくケースも多くなっています。

クロレラを使った料理がイメージできないとなかなか商品を手に取ってもらえないため、数人の女性社員でさまざまなクロレラを使った料理レシピを開発。

クロレラを使った料理がイメージできないとなかなか商品を手に取ってもらえないため、数人の女性社員でさまざまなクロレラを使った料理レシピを開発。それを機会にレシピ専用のWEBサイトもつくった。現在は、「クロレラくらぶ」のHP(https://www.chlorellaclub.com/)で、プロの料理人のレシピやヴィーガンカフェとのコラボメニューを含む多数のクロレラレシピを掲載している。

「クロレラパウダー for Cooking」の商品展開をしていく中で、井上さんは新たな市場があることに気づく。それが、ヴィーガン市場だ。
「クロレラは人間が必要としている栄養素を万遍なく持ち合わせている植物性の『ホールフード』。良質な植物性たんぱく質、葉酸はじめ、ビタミンB群など天然のビタミン類や各種ミネラルをバランスよく含んでいます。菜食主義者の方は、動物性食品に含まれているビタミンB12を食品から摂取できないため、サプリメントなどで代用されていると聞きます。タンク培養ではなく、太陽の光のもとで育てることにこだわった当社のクロレラにはビタミンB12が含まれ、しかもそれは活性型であることが確認されており、ベジタリアンやヴィーガンの方にうってつけの商品ではないかと思いました。発売当時は、まだ日本では『ヴィーガン』という言葉がそれほど認知されていませんでしたが、ほどなくしてビタミンB12を切り口にしたヴィーガンの市場が一気に視野に入ってきました」。

現在の「クロレラパウダー for Cooking」のパッケージには、発売当時にはなかった日本ベジタリアン協会が認めた商品の証「ヴィーガンマーク」がつけられている。

現在の「クロレラパウダー for Cooking」のパッケージには、発売当時にはなかった日本ベジタリアン協会が認めた商品の証「ヴィーガンマーク」がつけられている。

クロレラの特性や魅力が幅広く認知されるにつれて、新たな市場が拡大していくことに。同時に、クロレラの需要も広がっていった。

料理用からスポーツサプリメントへ。クロレラの魅力をいかんなく発揮した新商品が誕生

「クロレラパウダー for Cooking」の成功が呼び水となり、2018年8月にスポーツサプリメントタイプのクロレラパウダー「サン・クロレラAパウダー」が誕生した。「クロレラパウダー for Cooking」と同様のクロレラ100%、禁止物質が含まれていないことを製造ロットごとに審査する厳しい認証制度で知られる米国のアンチドーピング認証機関であるNSF (National Sanitation Foundation) のスポ一ツ認証を取得したサプリメントだ。

ドーピング検査に引っかかる心配をせずに飲用できるスポーツサプリメント。

ドーピング検査に引っかかる心配をせずに飲用できるスポーツサプリメント。半年前から先行販売していた米国では、すでにMLB(メジャーリーグベースボール)やNHL(ナショナルホッケーリーグ)、NBA(ナショナルバスケットボールアソシエーション)選手をはじめ、多くのチームや選手に採用されている。

「原材料を粒状に固めるためには、添加物が不可欠であり、当社製品にはそのための賦形剤としてレシチンがごくわずかに添加されています。もちろん、レシチンは害になるものではありませんが、粒状のクロレラを摂取すると結果的にクロレラ以外のものも口にすることになります。しかし、パウダーなら100%クロレラでできており、知らずに他の成分を口にするといった心配は不要となります。身体に摂り入れるものに取り分け神経を使うアスリートの方にも安心して飲んでいただけるクロレラパウダーが誕生しました」。

人々の健康で豊かな生活の実現に向けて、健康食品メーカーとしてできること

現在、生産開発部を離れ、ブランドコミュニケーションズ部の課長として活躍する井上さんは、ブランディング担当として、広告活動・スポーツ文化支援事業などさまざまな取り組みを進めている。その中で、今最も力を入れているのが、生活サポートサービス『oneness®(ワンネス)』だ。
これは、専用タブレットとディスペンサーをセットし、家庭に設置することで、「飲み忘れ防止」、「認知機能活性化トレーニング」、「見守り通知」、「サン・クロレラ コンシェルジュ」の4つのサポート機能を提供する新サービス。健康食品メーカーの画期的な取り組みとして、各方面から大いに注目されている。
「高齢化が進み、お年寄りの独り暮らしが増える中、日々の健康管理は重要な課題となっています。お客様の健康に貢献できる生活サポートサービスとして、この『oneness®』が誕生しました。普段、お客様と直接接する営業スタッフの声も参考にしながら社内プロジェクトとして進めてきたサービスです。気軽に当部専属のコンシェルジュと通話していただくことで、日々の不安を解消し、人生に彩りを添えるお手伝いができればうれしいですね」。

「oneness®」専用タブレットから専属コンシェルジュが動画通話で、飲用や健康についてサポート。

「oneness®」専用タブレットから専属コンシェルジュが動画通話で、飲用や健康についてサポート。顔が見える安心感と思いやりでお客様に寄り添うことを目的としている。

人々の健康で豊かな生活を実現するためには、健康食品メーカーとして何ができるか。商品づくりの枠を超えた井上さんの挑戦はこれからも続く。

 

提供:株式会社サン・クロレラ https://www.sunchlorella.co.jp/
クロレラくらぶ https://www.chlorellaclub.com/

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