10年以上のロングラン!ヒットのきっかけは、お客様の声から
ヒントを得たパッケージづくりだった

株式会社エテュセ

フランス語で「ネ、ネ、知ってる?」を意味するエテュセ(ettusais)。株式会社エテュセは、その名の通り、買った人がまた誰かに伝えたくなるような商品開発を目指しています。今回ご紹介するヒット商品は、2006年に発売された「リップエッセンス」。赤ちゃんの写真のパッケージを見れば、「あの商品ね!」とピンとくる方も多いのではないでしょうか。現在はファッションブランドや人気キャラクターとのタイアップがなされ、幅広い層に親しまれる美容商品となっています。そんな人気商品の開発エピソードから今後の展望まで、マーケティング部のグループリーダーである村上瑞美さんにお話を伺いました。

マーケティング部 マーケティンググループリーダー 村上瑞美さん
ハワイに留学した時、資生堂のカウンターで接客をしていた日本人女性の姿に憧れ、資生堂に入社。その後、資生堂に勤務し商品開発部門で経験を積む。1992年、結婚を機に退職し、一度は専業主婦として3人の子育てに専念。2004年にエテュセに入社する。2013年よりマーケティング部のグループリーダーに就任し、現在に至る。

開発当初、なかなか手に取ってもらえないジレンマ

2006年の発売以降、844万個*のシリーズ累計出荷数を誇る「リップエッセンス」が誕生したきっかけは何だったのだろうか。

*2017年6月末累計出荷数

 

「エテュセでは、もともと女性のニキビケアを中心に美容アイテムを開発してきました。綺麗な素肌を手に入れたいという女性たちの思いは、いつの時代も変わらないものですが、さらに幅広い層をターゲットにした商品展開をしたいという当時の社長の発案のもと、リップの開発に着手しました。初めは、女性のサイクルを考えて朝用・夜用を分けた商品を開発しました。しかし、時代の流れと共に時短を意識する女性たちが増え、ひとつで簡単に使えるアイテムのニーズが高まっていきました。こうして2006年に生まれたのが『リップエッセンス』です」と村上さん。

 

時代の先駆けとなった、チューブタイプのリップエッセンス。シンプルで可愛らしいデザインは、年代を問わず愛される。

 

商品発売当時、チューブタイプの美容液はまだ珍しく、リップであることが認知されないため売り上げが伸びないという難しさがあったそうだ。また、現在とは違い、発売当初はシンプルなパッケージであったため、売り場で他の商品に埋没してしまったのだ。カウンセラーが店頭で説明できる店舗では商品のPRができるが、バラエティショップ等に陳列されてしまうと、なかなか手に取ってもらいにくい。次なる課題は、パッケージの改善であった。

ユーザーの何気ない感想から、大きなヒントを得た

「当時、開発担当者の男性社員がお客様の口コミサイトに注目したんです。お客様の感想の中に『これをつけると、赤ちゃんみたいに唇がプルプルする』というコメントを見つけ、パッケージに赤ちゃんの写真を起用することになりました」

 

エテュセのアイテムは、「可愛くなれるスキンケア」を目指している。「リップエッセンス」は美容液であるが、つけるとグロスをつけたようなツヤや、赤ちゃんの唇のように血色感がアップしメーク効果もある。実際にリップを使用したユーザーが用いた「赤ちゃんみたい」という例えは、エテュセに大きな転機をもたらした。

口コミサイトのお客様の感想からヒントを得た赤ちゃんのパッケージ。今では、「エテュセと言えば赤ちゃんのイメージ」と言われるようになっている。

 

「赤ちゃんの写真入りの台紙をつけ、新たなパッケージを店頭に並べました。社長は10万個を販売数の目標値に掲げていましたが、社員たちの間では3万個売れたらいいね、というのが正直な気持ちでした。しかし実際の販売数は、予想を大きく上回る20万個。パッケージを変更し、売り上げが大幅に伸びたのです。お客様の何気ない感想からヒントを貰い、開発に活かしていくことの大切さを実感しました。現在も、インターネットサイトやアンケートなどを通して、お客様の声を参考にさせていただいてます」

赤ちゃんの写真はエテュセのブランドイメージとしてもユーザー間で定着し、現在はブランド名だけでなく「赤ちゃんリップ」というワードで検索してくる方も多いのだとか。

男性社員のアイデアも貴重な材料に

 

(C)2015 Aardman Animations Ltd. All rights reserved.

「『リップエッセンス』は昨年で発売10周年を迎えました。現在は、ファッションブランドや雑誌社、人気キャラクターともコラボをして、様々なデザインが登場しています。また、今年の7月には『リップエッセンスカラー』というシリーズの新作が発売されました。形状もチューブタイプではなくスティックタイプを採用し、メイクアップを意識した商品設計としています」

3年先のトレンドまで予想し、商品開発の計画を立てている。女性だからこそ、ユーザーと同じ目線で開発に臨むことができる

 

世の中の女性たちのニーズやトレンドを踏まえ、お客様の目線で開発にあたる村上さんたち。現在、社内の9割が女性社員とのことだが、男性社員の声も開発において貴重なものであるという。

 

「男性社員は洞察力があったり、データを分析してまとめることに長けている方が多いので、女性よりも論理的な視点でアイデアを出してくれたりします。マーケティングや、売り場の作り方においても、女性にはない視点を持っているので、より良い売り方を模索することができます。また、最近は、家族や彼と一緒にエテュセのアイテムを使っているというお客様の声も聞こえてくるので、年代だけでなく性別も超えて愛される商品になったらいいなと思います」

 ヒットを継続させるために、守るべき部分と革新する部分

美白、ニキビ、毛穴など、いつの時代でも美しい肌を手に入れたいと思う女性たち。時代に合わせてアプローチの仕方や情報発信の手法を変え、女性たちに求められるアイテムを作り続ける。

 

村上さんは、今後の課題について以下のように考えているとのこと。

「現在の課題のひとつとして、未開封性がテーマになっています。バラエティショップなどでは、お店が自主的にシールを貼っているところもありますが、お客様からは『誰かが開けたのではないか?』というお声をいただくことも稀にあります。様々な方が訪れるショップで、テスター以外の商品は未開封の状態を保つことができるよう、工夫したパッケージを考案中です」

長年培ってきたファンの人々の期待を裏切りたくないと語る村上さん。

女性社員の皆さん。和気あいあいとした雰囲気。

「25年というエテュセの歴史の中でも、10年以上に渡りヒットした商品はなかなかありません。ヒット商品には、守っていくべき部分と、その残像を残しながら新しい部分を取り入れていくべきだと思います。今後も、多くの方に喜んでいただけるような商品づくりをしていきたいです」

今後も、時代と共に移り変わる女性たちのニーズに合わせて、その時代にぴったりの「リップエッセンス」が登場し続けるのだろう。

 

提供:株式会社エテュセ

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