提言:あなたの会社でも知らず知らずペルソナが分厚くなっていませんか
久保田 葉

 日々ビジネスに関わる女性のみなさんからいただくメンタル相談を見渡してみると、「コミュニケーション」「リーダーシップ」「マネジメント」「結婚」「出産」「モチベーション」「家庭」「キャリア」などなど多岐に渡りますが、「女性が働きやすい環境」という観点から絞ると問題はやはり「コミュニケーション」につきそうです。

 心理学にペルソナ(仮面)という言葉があります。
これは何かというと、人や集団に属する時にその場に適応しようと「本当の自分」の上に「演じる自分」というペルソナを被る、ということです。
われわれ人間は好む好まざるを得ずおぎゃーと産まれてから成長していく過程でいろんな組織に属します。家族、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、部活、サークル、職場、恋愛、結婚、とライフイベントの変化に伴ってその組織に適応しようとこのペルソナが作られていきます。少しイメージして頂くとわかりやすいと思いますが、両親といる自分、親友といる自分、苦手な人といる自分、上司の前の自分、それぞれペルソナ(仮面)を作ってますよね。

 では、この勝手にかぶるペルソナがなんだか分厚くなったり、ごっつくなってしまったらどうでしょうか?
それだけ演じる必要があり、本音本心が出せずに我慢しなければいけないので、疲れたり、苦しくなってしまいます。さらにその状況で我慢大会が続くとパフォーマンスも低下し、メンタル、フィジカル面の不調をきたすことにもなります。

 働きやすい環境という観点から言えば、シンプルにこのペルソナを薄くして、できるだけリラックスして、自然体で働けるような工夫があるかもしれません。職種によって工夫は無限ですが、目標やミッションへの動機付けがなされていれば、可能な範囲で「個」への自由度を上げたり、志向に合わせた工夫をしてもいいでしょう。

 例えば働く志向でグループ分けをして、「静かに淡々と黙々と仕事をしたい」グループや「おしゃべりしながら楽しく和気あいあいやりたい」グループに分けて、「和気あいあい」ならば、少し距離感を狭めてあげて、アップテンポなBGMを流すなど、「淡々と黙々」ならば、逆に個人個人のパーソナルスペースを広く距離感を広げたり、希望者にはパーテーションをつけたり、静かなBGMを流すなど。

 組織に余裕がない今日、ついついペルソナが分厚くなりがちですが、より快適に働ける工夫をみんなで考えてみてはいかがでしょうか。

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