90歳まで働けば東京オリンピック。まだまだ引退は考えない

 高齢期の女性の悩みが増えているという。肌の手入れや化粧をしたくても都心のデパートに出かけるのはおっくうだし、ドラッグストアでは商品が多すぎて分からない。そうした女性たちの間で歓迎されているのが化粧品の訪問販売だ。84歳の現役ポーラレディを日本経済新聞がレポートしている。

 これまで合計5億円の化粧品を販売してきた森田早苗さんは栗色のショートカット、真っ赤なジャケット、ハイヒールでさっそうと歩く。84歳の今でも週に7日働き、毎日、愛車プリウスで仕事に向かう。全国約15万5000人のポーラレディの中で常に30位以内の売り上げを維持する。文字通り、「すご腕」の持ち主だ。ポーラとは個人事業主としての契約。報酬は歩合制だ。28歳のとき、自分の仕事が棒グラフになって壁に張られる職場を見て、これは面白そう、天職だというひらめきでポーラレディになった。以来56年間、休むことなく働き、2人の子供が生まれた後は家政婦を雇い、子供のお弁当作り以外の家事はすべて任せた。本物のプロをめざしてきた。

 引退は今のところ考えていない。90歳まで働けば東京五輪。そこまで行ったら次は100歳。積み上げた実績に頼ることなく、なお先を見すえる。「その姿勢にトップセールスに君臨し続けた理由を見たような気がした」と取材した記者はまとめている。女性が働くということの意味を一つ知り得た、「総活躍」を地でいくレポートだ(12-14 岩崎)。