社長100人アンケート、働き方改革の対応状況77.1%

日経新聞が行った「社長100人アンケート」で、2019年4月に主要部分が施行になる働き方改革関連法において、項目によって企業の対応の進捗に差が出ている。(日経10-22)問題はどこにあるのだろうか。

 

6月に成立した働き方改革法は長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の実現などを目指し、残業時間の上限規制や、正社員と非正規社員の不合理な待遇差を解消する「同一労働同一賃金」の導入などを柱とする。
自社の対応状況への認識を聞いたところ、働き方改革法全般に対しては、「完了している」「おおむね完了している」という回答が合計で77.1%に達した。「対応できていない」はゼロで、「あまり対応できていない」が2.8%だった。2015年度は34%(デロイトトーマツ調べ)だったことを考えると大躍進だ。
しかし、項目ごとに見ると差が生じる。残業時間の上限規制について70.8%が対応完了と回答した一方、仕事を終えてから次の始業までに一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」の導入は34.7%だった。有給休暇の取得義務化に対しては、36.8%にとどまった。なかでも、有休5日間の取得義務化は、対応が完了していないと考える項目の中でも49.3%と最も多かった。日本の有休取得率は50%前後で低迷している。人手不足もあり、有休が取りにくい職場風土の改革には難しさを感じている経営者が多い。
第一生命経済研究所の的場康子主席研究員は「残業時間の上限規制への対応の優先順位が高く、手いっぱいな企業が多いようだ」と指摘。有給休暇については「どの職場も人手不足感が強く、まだ義務化が進んでいないのではないか」とみている。

人手不足が働き方改革の足かせとなっているのは間違いない。