長時間労働の是正は管理職の意識改革がカギ  

 

働き方改革の掛け声で日本企業に著しい変化が現れている。日経新聞が12月7日にまとめた調査では、その変化はまず長時間労働への取り組みに現れている。調査対象の国内主要企業の経営者の8割弱が「是正に着手した」と答えた。

 

是正の具体的な取り組みでは、「ノー残業デーの設定」(77%)、「サービス残業の撤廃」(62%)「残業の事前許可」(61%)などがあがっている。良品計画では午後6時を過ぎると総務スタッフが申請のない従業員が残っていないか見回る。デンソーでは午後8時以降の残業を原則禁止。朝型勤務を促すモーニングシフトに取り組んでいる。だが、そうした対策の中で一番多かったのは「管理職の意識改革」だった。損保ジャパン日本興亜は今年から「生産性向上」を管理職研修に盛り込み、管理職の役割を再認識させる。日本電産の水守重信会長兼社長はアンケートに対して「海外グループ会社は残業がほとんどゼロでも利益をあげており、日本でもできると信じている」とコメントしている。日本企業の間でいかに残業が慣習化しているかという裏付けだろう。

 

先頃、女性社員の過重労働による自殺が大きく話題になった。しかし、日本企業の過重労働は従業員の健康や人権問題にとどまるものではない。経済協力開発機構(OECD)加盟35か国のうち、日本の就業1時間当たりの労働生産性は21位だ。この数字はここ30年近く変わらない状況が続いている。つまり企業競争力の維持という面からも危機感が浮き彫りになっており、働き方改革が急務であることを示唆している。