長時間労働がなくなれば深夜コンビニも減らせるのか 

深夜に灯りがついている建物は間違いなくコンビニだ。こんな日本の風景が当たり前になって久しい。しかし、小売店の深夜営業は本当に必要なのか。厚生労働省が15日に公表した2015年版の「労働経済の分析」(労働経済白書)がこんな興味深い問題提起をしている。専門職や事務の長時間労働を削減すれば、コンビニなどで夜間に働く人も減らせる可能性があると朝日新聞が伝えている。

 

白書では、2011年の平日、午後8時以降の職種別の就業者数を25年前の1986年と比較している。午後11時頃までの時間帯で専門職や事務の就業者がとくに増えたほか、午後11時~翌朝5時では販売やサービス業がどの時間帯でも増えていた。この結果を踏まえ、専門職や事務を中心に長時間労働が増えたことが、夜間のサービスの需要を生む面があると分析。彼らが長時間労働をやめれば、販売やサービスに携わる人を含めて夜間に働く人が減るとして、「社会全体の効率化に資する可能性がある」とした。

 

専門職、事務などの長時間労働を減らすことで深夜コンビニも減らせるという仮説は大胆だが、いくぶん疑問も残る。職種や働き方が多様化で、夜間でなければ稼働できない仕事、夜間しか働けない働き手もいて、そういう事情が雇用の受け皿にもなっている。しかし、これからの労働力不足を考えると24時間営業が常識となっているコンビニのあり方自体を考える必要はあるだろう。問題なのは深夜営業ではなく長時間労働なのだという視点が必要だ。(9-19山﨑)