部長、役員クラスがアジア各国に負けてしまう日本の低賃金事情  

 

日本の人材は安い買い物だ。欧米はもちろんアジア圏でも、日本のサラリーマンの給与はそこそこ、部長・役員など高度な技術や経験を持つ層になると格差は広がる。これでは国際的な人材競争に負けてしまうと日本経済新聞(8-27)が伝えている。

 

日本では一流大学をどんなに優秀な成績で卒業した人材でも給与は横並び、同期入社の社員の給与はみな同じだ。順調に出世してようやく部長・役員の席に座っても、ようやく海外の大学のビジネススクール卒業3年目程度の給与と同じくらいになる。それも日本ではかなり待遇のいい会社の話だ。つまり日本の企業で働く人材の待遇は世界でも稀な低賃金なのだ。日本経済新聞の調べでは、中国やシンガポールでは部長の給料は平均2300万~2400万円、日本は2000万円にも届かず、取締役になるとベトナムにも抜かれている。役職が高くなるほど海外が日本を上回り、格差が広がることがわかった。日本は若手から課長まではアジア各国を上回るものの、部長・取締役では抜かれてしまうのだ。

 

高度な技術や経験を持つ人材の獲得競争が世界的に激しくなっている。このままでは欲しい人材ほどよその国に逃げられてしまう「買い負け」リスクが懸念される。「働き方改革」がさかんに叫ばれるが、「支払い方改革」にももう少し目を向ける必要があるのではないか。