過労死をなくすために深夜残業をする職場のあり方

国家公務員に労働基準法は適用されない。だから長時間労働をはじめとする「働き方改革」は中央官庁には無縁の政策のようだ。今年も予算編成の時期に入り、官庁街には夜遅くまで灯りがともる(日経電子版11-07)

午後10時。厚労省では省内に「消灯」のアナウンスが流れる。しかし、同時に若手の職員が電気をつけて回り、居残りの人たちが何ごともなかったように仕事を再開する。労働関連法を所管する厚労省が「働き方改革」とは真反対の労働環境にいるのは皮肉だ。他省庁に比べ普段から業務が多い厚労省だが、大きな法改正などがあると昼も夜もない職場となる。今年はとくに通常の予算作業に加えて医療と介護の報酬の改定、生活保護制度の見直しなどが重なって長時間労働は解消されない。
深夜まで働くので一番困るのは食事だと職員は口を揃えて言う。省内の食堂は午後8時には閉まる。コンビニも11時に閉店する。近くに飲食店はないので10分ほど歩いてコンビニに行く。カップめんなど買い込んでおくことも多い。貧しい食生活が当たり前になっている。世間一般には長時間労働の規制を促す立場であるのに、この惨状は国家予算の3分の1を占める社会保障を担当するゆえの業務量の多さゆえだ。

残業による過労死をなくすために残業をする厚労省。自らを「強制労働省」とやゆする彼らは、この劣悪な労働環境をいつまで続けるのだろうか。どう考えているのだろうか。