通年採用は就活だけでなく働き方を変えるだろう

経団連と大学側は4月22日、新卒学生の通年採用を拡大することで合意した。IT(情報技術)などの高い技術を持つ人材の通年採用が進めば、新卒一括採用で入社した人も含めて専門性が求められる時代になる。人材の流動化につながり、戦後続いた新卒一括採用と終身雇用に偏った雇用慣行は転機を迎える。(日経04-23)

 


これまで多くの企業は新卒の学生を春にまとめて採用し、入社後に配属先を決めてきた。異動で幅広い部署を経験しながら昇進し終身雇用する仕組みで採用するのが主流だった。しかし、日本企業が強化する人工知能(AI)やフィンテック、データ分析、マーケティングなどで高い能力を持つ人材は新卒一括採用の網にはほとんどかからない。こうした人材は欧米と同様に「(ITなどの専門技術を重視した)ジョブ型」で通年採用するしかないのが実情だ。楽天やファーストリテイリングのような企業は世界中から様々なバックグラウンドを持った人材が集まるよう以前から通年採用を導入している。

経済産業省は23日、AI(人工知能)やIoTなど先端的なIT(情報技術)を担う人材が2030年に55万人不足する恐れがあると試算をまとめた。

優秀な人材を確保するには、新卒一括方式だけに頼る時代は終わった。さらに今後、採用時だけに限らず雇用の制度や慣行の改革がでてくるだろう。日本的雇用は転換点にある。企業の事業戦略に沿った人材となるようスキルを磨く必要がある。