育休取得に二の足を踏む労使双方の事情  

 

育児休暇をとる男女が法的に保護されるようになって30年近くたった。「育児介護休業法」(通称)には、事業主は労働者から育児休業の申出があったら拒むことが出来ない、と第6条にある。だが、法律制定時には予想できなかった事態が最近になって問題になっている。(読売11-14)

 

それは育児休業(育休)取得率の低迷だ。育休を申し出ると1人当たり60万円が企業に給付されるのだが、これは企業にとって不十分だという声が大きくなってきた。「貴重な働き手が欠けた分を補うには十分でない」と企業は不満をもらす。一方で男性社員のほうも、自分のキャリア形成への影響を心配して育休に二の足を踏むケースが多い。労使双方が助成金で育休を促進することに疑問符を投げかけているわけだ。

政府はこの問題を取り上げて、男性の育休や妻が出産時に取得する「出産時休暇」にテーマを絞った官民の協議会を来年から発足させる。厚生労働省と経済団体、各業界のトップ企業で構成することになる見通しだ。男性の育休取得率は2014年度で2.3%、2015年度2.65%、2016年度で3.16%と上昇しているものの、2020年に13%という政府目標にはほど遠いのが現状だ。

 

アメリカは先進国の中で唯一、「有給の産休制度」を取り入れていない。男性は育児休暇をとっても勿論いいが、その間の収入はなくなってしまう。アメリカの母親の4人に1人は休んでいる経済的余力がないため出産後2週間で仕事に復帰しているという。