税制改正で子育て支援の「ベビーシッター代」、所得控除なるか?

2016年度、税制改正要望が出そろった。各省庁からは消費税増税を見据えてか、子育てや企業活動を支える減税要求が目立っており、今後、政府与党で議論を進め、年末の大綱に盛り込んでいく。こうした中で厚生労働省は、ベビーシッター代等の費用を所得から差し引き、税負担を軽くできるよう求めた。内閣府も3世代同居のためのリフォーム工事をした際の減税を要望した。祖父母に子育てを手伝ってもらいやすくするねらいだ。

 

麻生太郎財務相は、子育て支援に関して「これまでの流れとして税制優遇は高齢者にかたよっていた。若年層に十分に配慮したものにしていかなければならないと思う」と語った(朝日新聞)。子育て支援の目玉の要求であるベビーシッター代の控除。会社員には支出する交通費や転居費などの経費のうち一定額を所得から差し引き、課税対象額を減らせる「特定支出控除」があるが、その合算できる経費の項目にベビーシッター費用を加えるというものだ。

 

ただ、もし実現されたとしてもシッターを頼めるような高所得者への優遇となり、保育園利用が困難な自営や個人事業主にはあまりメリットがなく、本当に必要な人に届くのかどうか疑問の声もある。実際に厚労省から出されている「子育て支援に要する費用にかかる税制措置の創設」を読むとベビーシッター代だけでなく、認可外保育施設に要する費用も要望理由として記載されている。この費用も「特定支出控除」として加えられることを期待したいところだ。(9-12 山﨑)