男女の生涯未婚の可能性は職業によってこんなに違ってくる

職業別の生涯未婚率を男女別に計算した人がいる。教育学が専門の舞田敏彦氏(武蔵野大学講師)が先頃、NEWSWEEK日本版に寄稿した記事がユニークだ。少子高齢化、国民総活躍を考えるうえでヒントになりそうなので紹介したい。同氏のレポートがユニークなのは、職業によって生涯未婚の割合が異なっている事実を過去のデータから裏づけたからだ。

生涯未婚は一般的に50歳時点の未婚率をベースにする。50歳以降に結婚する人は少ないという理由からだ。レポートは総務省の『就業構造基本調査』をもとに、職業別の生涯未婚率を男女別に計算している。そして、横軸に男性、縦軸に女性の生涯未婚率の座標上に54の職業を配置したグラフを作ってみたのだ。
この結果、女性の生涯未婚の可能性が高いのは音楽家・舞台芸術家(男性36.0%に対して女性は50.0%)をトップに、デザイナー、著述家、医師などの技術職、事務管理職と分かった。医師は男女差が大きく、男性が2.8%に対し、女性は35.9%にもなる。収入が高く、女性が自立できる職業の反面、激務ゆえに家事・育児との両立が困難ということだろう。男性の生涯未婚率が高かったのはサービス職や労務職だった。ちなみに男女とも生涯未婚率が低かったのは教員。安定した職業の代表格であり、かつ職場結婚が多いという見方も出来るだろう。

レポートの結論は、男性は家族を養う経済力が求められるが、女性は反対に、あまり稼ぐと敬遠されるのかもしれない、それが未婚率に影響するというものだった。そうだとすれば、世の中、変わった変わったというが、案外根っこの部分は変わりようがなく、ダイバシティやらジェンダーフリーやら最先端の掛け声も前途はるかという印象が残る。