活発化する企業の引越し。IT企業は渋谷へ、欧米系企業は山の手地区へ

2008年の金融危機でオフィス面積の縮小や関連経費の削減傾向にあった企業に変化が顕著になってきた(日本経済新聞)。業績アップで賃料の負担力が高まっているため、縮小しすぎたオフィス床を広げたり、拠点・フロアを集約て大規模ビルに移ったりするなどの動きが目立っている。

 

東京都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)では、昨年の賃貸ビルの稼動面積が過去10年間の平均を大きく上回った。これほどオフィス需要が旺盛な理由は複数あるが、企業が駅に近いオフィスを求めるようになったというのもその一つだ。企業は業務改善や少子高齢化対策で人材を増やす傾向にある。交通利便性が高く、イメージのよいエリアのビルに入居することは人材確保のポイントの一つなのだ。この事情をもっとも反映したエリアは渋谷だ。10年ほど前までは東京のIT企業の集積地は六本木だった。だが現在、サイバーエージェント、LINE、DeNA、ミクシー、GMOインターネットなど代表的なIT企業の多くが渋谷にオフィスを構えている。

 

東京のオフィス分布はいくつか特徴ある傾向のエリアをつくりだしている。都内に居住する外国人の人口は約35万人。このうち欧米系外国人は目黒区、世田谷区、大田区で増加が目立つ。これにともなって目黒周辺では外資系企業の集積が進んでいる。目黒雅叙園の中のオフィスビル「アルコタワー」には、アマゾンジャパンやウオルト・ディズニー・ジャパンが入居しており、居住地区とオフィスの位置が近接しているところは、彼らの生活スタイルを反映しているようにも見える(8-7岩崎)。