新卒求人倍率は1.78倍の売り手市場。学生の大手志向が強まった

リクルートのワークス研究所が発表した今年の就職マーケット。注目は売り手市場の中で学生の大手志向が強まったという分析だ。全体の求人倍率は1.78倍の中で、従業員数5000人の企業に限ってみるとわずか0.39倍だ。求人総数は前年より1%減の4万9000人に対して就職希望者は12万4000人で前年比49%増という大きなギャップ。

 

一方、300人未満の中小企業では求人数が3.9%増に対して、就職希望者が33%減ということだった。求人倍率は6.45倍となった。これで5000人以上の大企業と300人未満の中小企業の求人倍率のギャップは6.45倍にも達した。「働き方改革」で職場環境や人事制度の見直しを急いでいる大企業に学生が押し寄せ、人手不足で仕事がこなせない中小企業は学生から敬遠されるという、皮肉な傾向といえるだろう。

 

例年よりもさらに中小企業に過酷な就職事情となっているが、この打開策は各社の自助努力しかないのだろうか。しかし、ここ数年、起業が沈滞して、新規上場などベンチャー企業の動きも鈍いという。こうした事情も学生の大手志向を後押しているのだろう。あらためてベンチャーマインドの高まりこそ、中小企業への関心を引き寄せる大きな力になると思えてならない。