所得税控除の改正は、働く女性を後押しできるか?

政府税制調査会は、若者の結婚や子育てを後押しするために所得税を中心に議論を再開した。主な見直しに、妻の年収が103万円以下の夫に対する「配偶者控除」が据えられている。壁が消えれば女性は働きやすくなるのか?
 
現行の所得税制の大枠は1960年代に出来上がった。当時のモデルとなったのは「正社員の男性と専業主婦と子ども」というファミリーだ。それから半世紀を経て、状況は大きく変わった。専業主婦の比率は低くなり、男性も正社員とは限らない。子どもを育てるのは経済的に大変だ、と考える若い夫婦も増えている。そうした状況を踏まえ、妻の働き方を制限しているといわれる「103万円の壁」を見直す所得税控除が議論されている。具体的には、配偶者控除ではなく夫婦合計の所得に控除枠をつくる、子どものいる世帯に配慮して扶養控除を手厚くする、といった検討が進む一方で、高齢者の年金収入にかかる税を軽くする公的年金等控除などを見直し、世代間の不公平感を緩和したいとしている。

 

税制の見直しによって、これからの社会を支えていく世代の結婚や子育てを後押しできるかどうか、これまで年収を103万円以下に抑えてきた女性たちの働き方が変わるかどうか、注目される。政府税制調査会は長い目でみた今後の税制のあり方を考える組織だ。今回の議論の行方が働き方を制限してきた女性たちのモチベーションを高める契機となり、女性の労働力に期待する企業にとっても朗報となってほしい(藤井)。