女性管理職の数値目標制度がスタートするが、管理職を嫌がる女子社員は意外に多い 

 女性活躍推進法の誕生でにわかに注目を浴びている「クオータ制」だが、これは手っ取り早くいうと企業が一定数の女性を管理職に登用する割当制のことだ。全管理職における女性の割合を30%と目標値化することで女性活用のスピードを速めようというもの。だがこの狙いについては無理やり数字をつくるものなどの指摘もあり、論議が続いている。

 先日、日本経済新聞の主催で、東京でひらかれたシンポジウムにおいてIMD(世界トップクラスのビジネススクール)のギンカ・トーゲル教授が女性登用を進めるうえでクオータ制は効果的と指摘した。このシンポジウムは「グローバル・ウーマン・リーダーズ・サミット」。その基調講演で、「女性活躍推進法」は日本の転換点になるとして、女性活用のスピードを上げるためのクオータ制の有用性を説いた。同教授によると世界的に見て、①女性が上級管理職にいる企業の業績は好調 ②企業における女性管理職の割合は伸びている ③ノルウェーでは取締役の4割が女性であり大きな変化を起こした などの調査事例をあげて、「ジェンダー(性別)の問題を重要な課題としてとらえた数少ないリーダーのひとり」と安倍晋三首相を評価した。

 来年4月からいよいよ女性活躍推進法にもとづいて従業員301人以上の企業は数値目標が義務づけられる。政府は成長戦略の柱として女性の登用を掲げており、政府や産業界はずい分と盛り上がっているのだが、気になるのは女性側の受け取り方だ。管理職になりたくない女子社員は予想以上に多く、これが足を引っ張るのではないかと専門家は心配する。こうした風潮に、出席したパネラーの一人、イヴォンヌ・コルプス(三菱東京UFJ銀行グローバル人事室室長)は「チャンスがあれば尻込みせず、強い意志を持ってすすんでほしい」とは叱咤した。(12-16 岩崎)