女性活躍推進法は従業員数300人以下の企業も知らんぷりではいられない

 女性活躍推進法の施行を目前に行動計画の届け出が始まった。企業は右往左往であちこちで対策セミナーが開かれている。そんな様子を日経本紙「ウーマン」のコーナーが取り上げている。行動計画とは従業員数301人以上の企業に義務づけられたもの。女性をどう育てるか、管理職にどれだけ登用するか。この計画の行き着くところは、2020年までに女性の管理職比率20%を達成するという目標だ。

 企業側の動きは慌ただしい。外資系S社では2月に入ると女性管理職10人が集まって経営層に女性活躍のあり方について提言を行う。女性同士の情報共有化、男性の意識改革などを報告するようだ。生命保険M社は女性管理職比率15%をすでにクリアしているが、さらに17年に20%に引き上げることを行動計画に盛り込むつもりだ。キャリアアップと子育ての両立をいかにはかるか重点を置いて、社員研修もプログラムを一新した。だが、大企業が早くから専門チームをつくって新しい法律への対応を準備してきたのに対し、中堅・中小企業はそうした余力もなく、対応が遅れ遅れになりがちだ。担当官庁ではこうした企業へのサポートに努力している。東京都労働局は、労働者を雇用する事業主を対象に相談サービスの案内をした。「そもそも、女性活躍推進法に基づいて企業は何をする必要がありますか。」とか、「いつまでに何を届ける必要がありますか。」といった簡単な質問には専用電話で対応し、「自社の女性の活躍状況の把握・課題分析はどのように行うのか。」「どのような行動計画を策定するのが適切かわからない」という問い合わせには雇用均等室で対応するという。

 一方で、従業員数300人以下の企業は知らんぷりをしっていいのかといえば、そうではない。小規模企業にも努力義務として女性活躍推進法が重くのしかかってくるし、大手の企業が一定のレベルを達成すれば認定をもらえ、採用上プラスになることもあって中小企業の採用力がさらに弱くなるという声もある。大手も大変だが、中小も大変と、女性活躍推進法は女性の活躍をうながす一方で企業の悩みのタネになりかねない。