女性向けの商品開発に男性の姿が目立ってきた

日焼け止め(富士フイルム)、柔軟剤(花王)、多機能ジェル(コーセー)など、女性活躍を後押しする商品の開発に男性陣が張り切っていると日本経済新聞「WithM」欄が伝えている(5-28)。コーセーが3月に発売した化粧品ブランド「雪肌精・ハーバルジェル」に携わってきた開発担当の男性社員の話を抜粋してみた。

多機能ジェル・ハーバルジェルは働く女性の生活スタイルを想定した商品だ。働く妻や同僚女性の日頃の生活を見ているうちに、「みんな化粧をする時間もないほど忙しい」と実感するようになり、それが「寝ている間にキレイになる」というコンセプトにつながった。多機能ジェルと言われるのは従来商品にない乳液、美容液、パック効果を併せもつからだ。社内には当然のこと、既存商品の化粧水との競合などいくつかの懸念の声があがり、議論は女性の感覚を追求しがちだったが、開発スタッフは日々の多忙な暮らしの中で化粧時間を削っている実態などのデータ分析を重視した。こうして発売にこぎつけたハーバルジェルだが、顧客からは「楽で便利」「使い続けたい」という声が相次いでいるそうだ。コーセーは今後も従来の商品カテゴリーにとらわれない発想で新たな消費者の心をつかんでいくという。

これまで女性向けの商品の中には、女性向けを意識するあまり、肝心の女性が違和感を覚える商品も少なくなかったに違いない。女性の生活サイクルを真摯に見つめることで「時間は節約したい」「でもキレイでいたい」という女性の夢に近づき、結果的に女性の仕事生活を応援する商品になった。これからの商品開発のスタンスを変えていく一歩になるかもしれない。