女性の地位が低かったはずの国々の変貌ぶり

ビジネス街でインド人エンジニアの姿を見かけることが少なくない。なかには女性もいる。インドのGDPが、2050年頃には日本を追い抜いて世界第3位になるだろうという予測が出て久しい。その根拠となるのは産業構造の驚くべき変貌だ。たしかに、インドの輸出製品の中心はソフトウェア輸出に移りつつあり、植民地時代から続く農業国から、いまやIT大国へインドのイメージは大きく変わろうとしている。(日経経電子版9-29)

 

そうした国をあげての産業構造の移り変わりが日本のビジネス街の風景にアクセントをもたらしたのだ。ところで日本を取り巻く国々では、人々の、とくに女性の「働き方」はどう変わってきたのだろうか。アジアには、「男性は働かず、女性は働き者」という、女性の地位が低い印象があり、インドはそういうイメージの代表格だった。しかし、同国の働く女性は大きく2種類だ。一つは自己実現をめざすキャリア系の女性。キャリアを積み重ねて活躍する女性は大都市圏で目覚ましい。日本では考えられないような地位で働く女性も珍しくなくなった。多国籍企業ペプシコの経営者や国内最大の民間銀行のCEOはその例だ。しかし一方には、生活のために働く女性がおり、農業や製造業、建設現場などで働く姿が目立つ。働くインド女性の数はIT産業が根付く過程で大幅に増加し、いまや金融機関、マーケティング、マスコミなどに広がっている。

 

インドでは結婚しても退職する女性は少なくなってきた。結婚後も仕事を続けて、子どもができても一時期休んで復職するケースが多いという。こういう生活スタイルの背後には経済的理由があるのはたしかだが、いつの間にか「女性活躍」が現実のものになった国々に比べて、日本はやはり後れをとっている感がある。