夫は死んだものと思う、とショッキングな発言

「夫は死んだものと思っている」とショッキングな発言があったという、先日東京ウイメンズプラザで開かれたワーキングマザー対象のワークショップ。会場に詰めかけた参加者からは夫との家事分担について悲観的な意見が相次いだと、社会学者の水無田気流さんがレポートしている(日本経済新聞 3月5日)。

 

夫に家事分担を期待しても無駄。だったら最初からいないものと考えたほうがいい、という切実な事情が女性にはあるのだと水無田さんは分析する。そして、こういう現実が男性には見えていないと警鐘を鳴らすのだ。だが、一方で男性側にも言い分はあろう。仕事、仕事で身を粉にして家族のためにがんばって、あげくの果てに「死んだもの」とは、あまりに理不尽ではないか。

水無田さんは両方の言い分を聞いたうえで、問題を次のように絞ってみせる。

「問題はこの国の働き方、暮らし方にある。どこかおかしい。長時間労働と、男女で職場と居住地に分離した生活スタイルをおかしいと考えるときではないだろうか」。

 

国連の人権委員会が、長時間労働などが原因の過労死や自殺について日本政府に対策を講じるよう勧告したのは3年前のことだ。 その後、長時間労働の防止を強化することや、労働時間の制限に従わない場合は制裁を科すような動きもあるが、働く現場はここまでの惨状。働き方の抜本的改革が急がれる。