大卒女性の活用、日本はOECDの落第生

イギリスの経済誌『エコノミスト』によると、日本は大卒女性の就業率が諸外国に比べ低く、高学歴女性を活かしきれていない国という。女性活用ランキングは主要29か国中、28位と惨敗だ(日経3-7)。

現政権の政策において「女性活躍」は経済成長の原動力の一つと位置付けられている。安倍首相は施政方針演説で「女性が輝く日本」をつくると謳いあげた。だが、それから5年たった現在、働く女性は200万人増えたものの、その多くは非正規女性の数字であり、企業の女性管理職比率は相変わらず10%を少し超えたところにある。このように女性活躍の質が伴わないのは高学歴女性の就業率が一因だ。OECDの最新データでは、日本の大卒女性の就業率は74%で加盟国35か国中29位。先進国の中でも低さが際立っている。男女格差もある。
大卒女性の就業率が低いのは、いうまでもなく仕事の生活の両立が難しく、結婚・出産で退職するのが当たり前とされてきた時代が長かったからだ。そのせいで再就職はパートタイムの定型的業務で落ち着いてしまう。もとの職場に戻る風潮も最近になってからのことだ。

だが人手不足で事態は急変しつつある。企業は育児休業の女性社員の早期復帰を支援する。保育所に入れない幼児を持つ社員には会社がベビーシッターを手配する。休業期間中も在宅勤務の体制をつくり、キャリアが途切れないように工夫する。女性幹部候補の養成で学び直しの機会をつくる動きも出てきた。「ガラスの天井」を取り払い、「眠れる宝」の掘り起こしに官民、力を合わせるときなのだ。