外国人の「お手伝いさん」で女性活躍のお手伝い

家事労働者を海外から受け入れる事業が、来年にも大阪と神奈川でスタートすると読売新聞が伝えている。炊事や洗濯、子どもの世話などを行うお手伝いさんを海外に求め、家事支援サービスの多様化による女性の活躍推進と経済成長の後押しをするのが狙い。だが、人権や労働条件などの悪化などを心配する声も高まっている。

大阪と神奈川が対象となったのは国が規制緩和を進める国家戦略特区だからだ。認定を受けた企業(ダスキンやパソナなどが名乗りを上げている)が外国人労働者を受け入れ、家庭に家事支援サービスを提供する。特区での事業が軌道に乗れば全国に広げる構想だ。25~44歳の女性の利用率は2%、だが今後利用したいという人は16%(2011年、野村総研調べ)と思った以上に潜在市場は大きいようだ。これで家事や育児の負担感が強い共働き家庭の利用が広がれば間違いなく女性の活躍推進につながるだろう。だが、家事労働が密室での労働だけに外国人女性への人権侵害や労働条件の悪化などの問題を危惧する声も強い。事実、70年代から海外の家事労働者を受け入れてきた香港でも、定着までには年次有給休暇や失業給付などの保障が大きな問題になってきたと同紙は伝えている。

今のところ外国人のお手伝いさんの受け入れ条件は満18歳以上、実務経験1年以上、必要最低限の日本語能力を想定している。利用料は(日本人の家事労働者と同等なら)1回2時間で5000円前後になる。女性活躍、経済成長につながる動きになれば幸いだが、その実現にはまだ問題を残している。