働きやすさの可視化を心配する会社、競争力を上げる会社

女性活躍への企業の取り組みを、厚生労働省がデータベースにして公開するようになった。いわば「働きやすさ」についての企業の成績表。しかし、女性活躍推進法施行以来、いくつもつくられたものだから、煩雑で役に立たないと2018年中には数万社の規模でデータを一つにまとめて検索機能も強化するという(日経8-16)。

これがうまくいけば、今後の人材採用や企業イメージ、商品イメージに大いに影響してくることが考えられる。会社の女性活躍の取り組みや従業員全般の就労の様子があからさまになるからだ。公開されるデータの中身は、男女別の育児休業取得や従業員採用の男女別割合、出産後の再雇用の実績、もちろん政府が女性活躍のバロメータにしている「役員・管理職に占める女性の割合」もある。
例えば商品マーケティング一つ取り上げても打撃は大きいのではないか。女性向けの商品や、乳児・育児用品のメーカーといった企業の、女性活躍や働く環境の成績が悪ければ、女性の見る目は大いに変わってくるに違いない。

女性活躍の取り組み公開は、従業員300人以上の企業に課せられた義務だ。一覧でデータを比較されることが企業の優劣の可視化につながるのを心配する向きもあるが、それは一面的な見方だ。企業が一斉にデータを公表することで自社の置かれた位置もはっきりするし、努力していい成績をとれば企業の競争力も高まるというものだ。(8-25岩崎)