保育所は増えているのに待機児童も増えている不思議

待機児童のニュースは本欄でも何度も取り上げた。共働きが増えて女性の就業率を左右する問題だからだ。ざっと全国を俯瞰すると待機児童の数は2万6000人。昨年より2500人、3年連続の増加だ。読売新聞(9-10)が伝えた。

 

保育所は増えているのだ。だが、2つの理由で待機児童が増え続けていると一つは待機児童の9割は3歳未満なのに、この年齢層、とくに1~2歳の子どもを受け入れる施設が不足している。需給のミスマッチだ。もう一つの要因は地理的な需給の問題だ。待機児童の7割は首都圏と近畿圏、その他の大都市に集中している。富山県や鳥取県など7県では待機児童がゼロだった。これも需給のミスマッチだ。ミスマッチはほかにもある。待機児童は駅周辺で発生している。逆に駅から20分も離れると大きな保育所がいくつもあるのに、不便だからと利用希望が少ない。

需給ギャップはさらにある。大規模マンションの開発が進むと一時的、局地的に待機児童を抱えてしまう自治体が多いのもそれだ。ざっと要因をあげただけでも需給ギャップだらけだ。

 

こうしてみると、待機児童の問題は一時的な需給のギャップ、地理的な偏りを解消することだと分かる。それが分かっていてもなかなかギャップ解消までいかない。さらに問題を大きくしているのは施設を用意しても保育士不足で子どもを受け入れられないという事情だ。8割の自治体は「保育士が足りない」と悲鳴を上げている。