保育士は「増やしながら」「減らさない」対策も強化する

 ようやく国民総活躍の根っこの部分に手がつけられることになった。根っこというのは保育士の増強、待遇改善のことだ。長年の間、働く女性の足を引っ張ってきた保育所不足、保育士不足を財政面で支援し、待遇を改善する一方、年間3万人以上が離職する現状にも手をつける。人材を「増やす」一方で「減らさない」対策も急ごうというのだ。

 政府の保育人材対策はきめ細かく実行される。補助的なスタッフとして保育士の資格をもたない人も積極的に活用するのはその一つだ。保育士が休憩をとる際には自宅などで子どもを預かった「保育ママ」の経験がある人なら交代要員としてOKとする。保育士が子育て期間に入ればベテラン保育士がカバーしたり、助言するなどして若手の保育士が辞めないで済むよう支援する。ただ、どうかと思えるのは保育士の給与の引き上げ案だ。年収ベースで前年度より1.9%増やすことが決まり、自治体を通じて保育所に分配するのだが、これでは新たに保育士をめざす人はもちろん、保育士資格を持ちながら仕事に就いていない人が積極的に手を挙げる動機付けには程遠い。保育士の平均給与は月約21万円で、全産業の平均より10万円以上も低いのだ。

 これら平成28年からの実施案については、無資格の人材導入には反対する声も強い。また、幼稚園教諭や小学校教諭でも認可保育所で働けるとした案も不安視する向きもある。厚労省はそれらの意見を踏まえたうえで段階的に実施していくと慎重な姿勢だ。(1-18 岩崎)