休日の兼業もOK! 人手不足に「変形労働時間」活用の一手

週休3日制の導入が小売、外食業界を中心に進んでいる。これらの業界に共通しているのは人手不足に悩んでいることだ。人事制度を見直すことで多様な働き方を打ち出し、採用力を強化しようという意図がある(日経6-5)。

 

物流大手の佐川急便が実施する週休3日制の対象は、宅配便の集配や集金を担当する運転手だ。現在、正社員と契約社員合わせて全国に3万人がいる。このうち東京と山梨で募集する正社員に週休3日制を適用する。給与は週休2日制の場合と同水準、しかも休日には他の仕事との兼業を認めるというから画期的だ。1日当たりの平均労働時間を10時間と計算して、週休2日制よりも2時間長く設定する。法定労働時間の枠外になる「変形労働時間制」の適用を受ける。勤務日は本人の希望と会社側の事情を合わせて調整する。

 

兼業はこれまでも従業員からの申請があれば許可される性格のものだった。意外なことだが、兼業を禁止できるのは労働契約上「特約」がある場合のみだ。例えば兼業で職場の秩序が乱される、従業員の働きがおろそかになるなど会社側に不利益が生じる、あるいは予想される場合だ。人事制度を見直すことで多様な働き方を可能にする試みは人手不足の解消にとどまることなく、「働き方改革」のスピード化に拍車をかけるだろう。