企業内保育所の5万人増員プランは女性活躍の突破口となるか

 企業内保育所の整備に向けた助成金制度が創設されると日本経済新聞が伝えている。これによって2017年までに5万人分が増えるという。厚労省によると、企業内保育所を利用する子どもは14年3月時点で約7万1000人。新たに5万人分が整備されれば一気に7割増える計算だ。

 整備の資金には少子化対策の財源として企業が国に納める子育て拠出金の料率を上げたものを充てる。今のところ企業内保育所は大病院やヤクルト、資生堂など女性の多い企業が中心だ。資生堂の企業内保育所「カンガルーム」は就任間もない安倍首相が訪ねてニュースになったことで有名になった。首相が育児休業を3歳まで伸ばし、5年間で待機児童ゼロを目指すという政策を打ち出したことから、その広報の一環としての資生堂訪問だった。同社の育休3年は1990年から。2003年にはカンガルームをオープンしたが、それは保育所が足りず、待機児童が出ている現実に対し、緊急回避的なセーフティネットのつもりだった。場所は汐留オフィスの近くにあるビルの1階。現在は0歳児から小学校入学前の乳幼児を受入れ、資生堂だけでなく、近隣にある電通や慈恵医大、朝日新聞社、日本たばこ産業、共同通信の5社も乳幼児を預ける枠を各社3人ずつ持っている。

 最近では大企業だけでなく企業内保育所の創設が中堅、中小企業まで広がっていると聞くが、1社単独では無理なため、他の企業と共同利用する施設を設け、運営を保育サービス会社にまかせるというかたちのようだ。この場合、全国で1施設しか助成対象とならないということで一気に形勢が変わるというものではなかった。政府の新予算は突破口となるだろうか。もしならなければ女性活躍という戦略目標は絵に描いたモチとなる(12-28 岩崎)。