人手不足、過疎化に抗え。広がる地方の挑戦

都市に働き手が流出し、地方は深刻な人手不足、過疎化に悩んでいる。あの手この手で対策を講じているのを日経新聞の地方紙(09-04)が伝えている。

 

熊本県のIT(情報技術)ベンチャーのMARUKU(マルク、熊本県山都町)は熊本県南部の廃校や使わなくなった施設をリニューアルし、IT企業の入居を促す。ITベンチャーや独立自営業者(フリーランス)が連携し、技術とサービスの水準を高める環境を整え、熊本県南部の交流人口拡大や産業振興につなげる。東京で行う説明会では、ベンチャー企業に「海を見ながら仕事ができる」など自然に恵まれた職場環境をアピールする予定だ。

 

北陸3県では空き家を改修して、再販したり再利用したりする動きが広がってきた。北陸は全国的にも持ち家比率が高く、マイホーム志向が強いとされる。老朽化した空き家を安く仕入れて自社のノウハウを生かすなどして比較的低価格で提供する。所得の少ない若い世代などの需要も開拓できるとして新たに参入する事業者が増えている。20~30代の子供を持った若者に入居してもらい街を盛り上げてもらうのが狙いだ。

 

北海道はJTBと連携し、基幹産業の一つである観光業の人手不足の解消に着手する。10月以降に道内のホテルや観光施設など10社前後を受け皿として、観光業で働いてみたい人を派遣して研修を行う。研修後に正社員として引き続き働いてもらえるようにする。訪日客を中心に北海道を訪れる観光客が増える一方、深刻さを極める人手不足を補うのが狙いだ。北海道では過ごしやすい気候となる夏や、ウインタースポーツが盛んな冬に観光客が多く訪れるが、春や秋は落ち込む傾向にある。そのため観光業では非正規雇用で従業員を抱える企業が多いとされる。道は今回の研修で従業員の正社員採用を後押しする効果も期待している。