ダイバーシティマネジメントは「偏見の自覚」から出発する

日経新聞(11-5)に興味深い特集記事を見つけた。

経営コンサル会社のアクセンチュアが「無意識の偏見」研修を、管理職を対象に始めたのは2年前から。研修ではまず課題が提示される。「1人の社員がいます。女性でロンドンの事務所に勤務、職業アナリスト、2人の子持ち、45歳、パートナーは女性」。トレーナーが参加者に質問する。

 

「この中で『おや?』と疑問に感じたことはありますか」という質問。

研修の目的は各人の苦手意識や偏見に気付いてもらうというものだ。いろんな意見が出る。「子持ちの女性で海外勤務は珍しい」「LGBT(性的少数者)に驚いた」……・

どれも「無意識の偏見」と呼ばれるものだ。同社が「無意識の偏見」研修を始めたきっかけは女性社員が全体の2割に達し、育児利用や時短勤務の利用が増えてきたことだった。研修は偏見の排除ではないと同社は説明する。偏見に気付かずゆがんだ判断をし、適切な意思決定を妨げてしまわないようにするためだ。実際、この研修では履歴書をもとに人事評価をする演習もあるのだが、職歴は同じなのに名前と写真が違っただけで評価に差が出た。性別や外見が判断に影響したのだ。

 

心理学に「ハロー効果」というのがある。よい特徴を見つけると、人はその人のすべてがよく見えてくるというものだ。よかれあしかれ、人は思い込みや偏見から逃れることは出来ないということだ。「育児中の女性に出張は無理」、「若手社員は家庭より仕事を優先するのが当たり前」と、ごく身近にそんな偏見が転がっているのに、まず気づかなければならない。