オフィス移転、拡張の背景は「働き方改革」の進展

国ぐるみで進める「働き方改革」だが、その要素の一つとなるオフィスに異変が起こっている。大手企業や新進企業、とくにIT(情報技術)分野の企業で移転や拡張が活発になっているのだ(日経5-6)。

今年は都心で大型再開発ビルが相次いで完成する。いずれもほぼ満床で開業を迎える。不動産大手3社では、三井不動産が東京ミッドタウン日比谷に続いて日本橋など複合ビルが開業する。三菱地所は丸の内、住友不動産は大崎や御成門でビルが完成し、いずれもほぼ満床となりそうだ。3社揃って最高益更新となり、これは3期連続となる。
雇用の増加や働き方改革を背景として企業のオフィス需要は旺盛で、東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の3月時点の平均空き室率は10年ぶりに2%台に低下した。既存ビルでは賃料の引き上げが進む見通しだ。
新しいビルへの移転に伴い、テナントの退去が増える。退去後のスペースも旺盛な需要に支えられて順調に埋まりそうだが、オフィスの大量供給で18年末にかけて需給がゆるみ、賃料が下落に転じるとの見方も出てきた。

オフィス移転が活発なのは従業員増のほかに働き方の変化がある。従業員規模が大きい企業ほど様々な働き方に挑戦している。大手では半数以上の企業がモバイルワークを活用しており、フリーアドレス席や在宅勤務制度の導入率も高い。これら働き方の変化に取組む目的が最終的に「生産性の向上」にあるのは言うまでもない。